「部下に花を持たせる」上司ほど昇進する理由 次世代リーダーを育てるプロのインテグリティ

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日本の会社でこれまで言われてきた「次の社長選びは社長の専権事項」ということはパートナーシップの会社ではありえません。パートナーとプリンシパルに「次の代表に必要な要件、資質は何か」を挙げてもらい、それに照らして「誰が適任だと思うか」の意見をアジア・パシフィックのリーダーと一緒に聴取し、それで最終的に決めました。

コンサルティングの変革ができる人

関灘さんには、新しいものを持ってこられるという期待がありました。コンサルティングの在り方が変わってきている今、変化をつくり出せる人が求められていたのです。端的に言えばテクノロジーでしょう。彼に期待する理由の1つは、テクノロジーの変化をコンサルティングの変革に持ち込めることです。

テクノロジーはその裏側に何があるかがすべてはわからなくても、感覚的に「これを使えばこんなものができる」ということがわからなければならない。それが関灘さんは自然にできているのです。

関灘さんには、パートナーになってしばらくの間、小言のような助言もしました。端的に言えば、「自分ばっかり輝くんじゃない」ということです。

関灘さんには、もうここまできたら自分が輝くのではなく、他人に光を当てる立場なんだよ、とアドバイスしました。

「自分は素晴らしい」「自分はクライアントを獲得できる」「自分はクライアントをうならせられる」ではなく、自分がそういう機会を人に与えて、次のリーダーをつくることに目標を移していかなければいけない。

このことは若いうちから心に留めておいてほしいと思います。それがより高いインテグリティを持ったリーダーへの出発点でもあります。

■厳密な「アップ・オア・アウト」でなくてもよい

人を育てるときに覚えておくべきなのは、人間は人それぞれという事実です。人にはいろいろな得意技があるし、立ち上がりのスピードにも違いがあります。一律に決まった時間を与えて、「制限時間内にこれができないといけない」というふうにはしないほうがいい。

コンサルティング会社では2~3年で区切って「アップ・オア・アウト(昇進できなければ退社せよ)」という方針を掲げるところがあります。私はそういう環境で育って、その信奉者でした。カーニーの日本代表になってもそれを推進しました。

しかし、日本代表を務めていた最後のころには、「厳密なアップ・オア・アウトでなくてもよいのかな」と思うようになりました。アップ・オア・アウトを厳密に適用すると、そのペースで育つ人しか育たないし、できていないところを探すような「減点方式」になりがちです。人によって成長スピードも得意技も違うのですから、よいところを伸ばすほうがいいのではないか。つまり欠点を叩くよりも、長所を伸ばすほうがいい。

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