「部下に花を持たせる」上司ほど昇進する理由 次世代リーダーを育てるプロのインテグリティ
嫌な役目なのですが、今いる人を超える人材を採れるようになってきたら、それは会社としてはいいことでしょう。だから採用する側の当人も若い人が自分を超えていく恐怖と嫉妬に勝たないといけない。
当人と同等くらいの人を採用するときのインタビューのコメントに、「あっ、これは嫉妬がある」と思うときがあります。意識しているのか、無意識なのかわからないけれど、「この人を入れたら自分のポジションが危うくなる」と思っているのがわかるときがある。でもそういう場合はその人材を採用するほうが間違いなく、よいのです。
前回「情報やクライアントを共有すればパイが大きくなる」と言いましたが、人を育てるときも同じです。パイが大きくなれば、コンサルタント一人ひとりも昇進のチャンスが増えるのです。
パイが同じであれば、常にピラミッドの大きさも同じだから、誰かが外に出ないとピラミッドの上には行けない。でもパイが増えたら、ピラミッドも大きくなっていくのだから、多くの人が昇進できる。
だから人を育てることは、自分より素晴らしい人を見つけて、自分がリスクをとってその人に活躍の場を与え、輝かせるようにしていくことの繰り返しです。
38歳の関灘茂さんがカーニー日本代表に就任
コンサルタントの世界は、いわゆる昇進のスピードが速いのが特徴かもしれません。日本の伝統的な大企業にはやはりまだ年功序列の名残があって、実力主義が徹底されていないところがあります。その点、外資系のコンサルティング会社では、パートナーに定年もないし、30代でも日本の代表になれる。
先に述べたように、関灘茂さんは38歳でカーニーの日本代表になりました。
彼が日本代表になったときに、彼より年上のパートナーの人たちには、「なぜ?」と思った人もいたかもしれません。
ちなみに私は以前から関灘さんに日本代表になってもらおうと思っていたわけではありません。ほかの人にも平等にリーダーシップを発揮する機会を与えました。
改革しなければいけないテーマはたくさんあったので、大きなテーマを渡して、それをどのように実行するかとか、ほかのパートナーや若いコンサルタントのフォロワーシップを得ながらやれるのかとかをずっと見ていました。
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