菅首相、「二階外しで衆院解散」シナリオの大誤算

自民党内で噴出する不満、「三木降ろし」再来も

8月、自民党役員会に臨む菅義偉首相(右)と二階俊博幹事長(写真:時事)

衆院選と自民党総裁選が複雑に絡み合う政局秋の陣は、9月を迎えて「百鬼夜行の状況」(自民長老)となってきた。

菅義偉首相(自民党総裁)がパラリンピック閉幕後の9月6日の週早々にも二階俊博幹事長の交代を軸とする党・内閣人事を断行。9月16日までの解散断行も視野に入れているという報道もあり、永田町に疑心暗鬼が広がっている。

仮に解散が先行すれば、9月17日告示・29日投開票の総裁選は自動的に衆院選後に延長される。菅首相の本筋の戦略は総裁再選を前提とした解散見送りによる任期満了選挙とみられるが、いずれの場合でも衆院選は衆院議員任期である10月21日の前の10月5日公示・同17日投開票となる見通しだ。

解散先行案に党内の不満が爆発

菅首相はもともと、議員任期を超えての衆院選には否定的で、ここにきて「10月17日の投開票しかないと腹を固めた」(周辺)とされる。これも踏まえ、解散権行使か任期満了かの選択に悩み、「解散で勝負したい」(同)との思いも秘めていた。

しかし、8月31日夜にそれが漏れたことで、党内に「殿ご乱心」との不信感が爆発。菅氏支持の安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相も不快感を示したことで、菅首相も翌朝には解散先行を否定せざるをえなかった。

現状では、菅首相が解散断念による任期満了選挙を決めても、その前の総裁選で対抗馬である岸田文雄前政調会長に勝てる保証はない。すでに党内には「菅首相のままの衆院選では自民大敗は避けられない」との危機感があふれており、菅首相が解散先行を狙っても、解散決定閣議で多数の閣僚が署名拒否で抵抗する可能性も高い。

岸田氏は「堂々と総裁選で勝負すべきだ」と解散先行論を批判。最高実力者の安倍、麻生両氏の対応次第では、1976年のいわゆる「三木降ろし」と同様に、解散権を封じられ、「菅降ろし」につながる可能性がある。

さまざまな情報が飛びかう中、菅首相は9月1日、「最優先は新型コロナウイルス対策だ。今のような厳しい状況では解散ができる状況ではない」と解散先行論を否定した。前日からの自民党内の強い反発も考慮し、騒ぎの沈静化を図ったとみられる。

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