菅首相、「二階外しで衆院解散」シナリオの大誤算 自民党内で噴出する不満、「三木降ろし」再来も

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さらに、菅首相は「総裁選の先送りも考えていない」と17日告示・29日投開票の総裁選実施も明言。そのうえで「そういう中で(衆院選などの)日程は決まってくるだろう」と語った。

8月26日に岸田氏が総裁選への出馬を表明して以降、自民党内には「複雑怪奇な動き」(長老)が相次いでいる。その背景には必死に延命策を探る菅首相の焦りと苛立ちが浮かび上がる。

岸田氏の提言を機に「二階外し」へ

岸田氏が出馬表明であからさまに二階氏の交代を求める党改革を打ち出し、党内の評価を受けたことが、今回の騒動のきっかけとなった。政権発足前から二階氏とタッグを組んできた菅首相にとって、「菅・二階連合維持への損得勘定」(周辺)を突き付けられたからだ。

対抗策として急浮上したのが、「二階外し」の断行だった。菅首相は8月30日午前に総裁選出馬を公言していた下村博文政調会長を官邸に呼び、「出馬するなら政調会長を辞めろ」と通告し、出馬を断念させた。

さらに菅首相は同日午後、二階氏を官邸に呼び、パラリンピックの閉幕直後に党役員人事を断行する際、二階氏を交代させる意向を伝達。二階氏も「自分に遠慮なく人事をやってほしい」と交代を受け入れた。

これにより、政府与党内では6日にも党役員人事とそれに伴う内閣改造が行われるとの観測が一気に拡大した。併せて、総裁選の日程通りの実施を前提に、菅首相が解散を断行することを見送り、9月中旬にも10月5日告示・17日投開票の任期満了選挙を閣議決定するとの見方が大勢となった。

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