時代映すヒットCMから読み解く「家族像」の大変化 かつては「亭主元気で留守がいい」、今は?

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大和ハウスのCMは、2011年からリリー・フランキーと深津絵里が夫婦役を演じている。静かな夫婦の会話とともに、情緒豊かに映画のような世界観を紡ぎ出す。そこから夫婦が暮らす「家」のあり方について、本質的なテーマが投げかけられる。

はっきりと描かれてはいないが、二人には子どもがいない。家族とはいえ血縁ではない他人同士である。それゆえ、家族とは作り上げるもの、認めるもの、許し合うもの、という二人の逡巡や意志が浮かび上がってくる。住まいを考えることは、すなわち「家族のあり方」を真剣に見つめることにほかならない。「大人同士」の家族の姿を描き、そこに寄り添おうとする企業の姿勢がしっとりと伝わってくる。

「ひとつ屋根の下」を彷彿とさせるジャンボ宝くじ

さらに別のCMを取り上げよう。2020年から始まった「ジャンボ宝くじ」には、長男・妻夫木聡を筆頭に、吉岡里帆、成田凌、矢本悠馬、今田美桜の5人きょうだいが賑やかに登場する。それぞれのキャラが立ち、宝くじにまつわる家族の会話と愉快なエピソードが描かれ、文句なく楽しいシリーズである。

1990年代の大ヒットドラマ「ひとつ屋根の下」を彷彿とさせる、両親のいない兄弟という設定がポイントだ。和気藹々とした大家族の物語に、郷愁やファンタジーを感じて惹き込まれる。

長男(「CHONAN」と書いたトレーナーを着ている)を大黒柱に、楽しいながらもつつましい様子が健気で、応援したくなる。「宝くじで一発当てたい」というみんなの願いが、嫌らしくなくほのぼのと伝わってくるのだ。

これら2シリーズは、いずれも子どもや親がいない家族のありようが描かれている。その不完全さや変則的なカタチにこそ、すべての家族が持っている「固有性」がシンボリックに表現されているように思えるのだ。

そして、互いに向き合って生きようとする夫婦、明るく未来を夢見るきょうだいの姿が、商品・サービスの本質的な価値としっかり結びついているのがCMらしく見事である。

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