時代映すヒットCMから読み解く「家族像」の大変化

かつては「亭主元気で留守がいい」、今は?

テレビCMが家族をどう描いてきたのか、その変遷を解説します(写真:zon/PIXTA)
テレビCMのなかにも、さまざまな家族が登場する。ドラマなどの番組コンテンツ以上に、時代の変化に敏感ともいえるCMクリエイティブは今、家族をどう表現しているのか。ギャラクシー賞CM委員である汲田亜紀子氏に、ヒットシリーズや最近作を例に分析してもらった。

主婦の本音を赤裸々に表現したキンチョウのCM

「タンスにゴン 亭主元気で留守がいい」。1986年にキンチョウ(大日本除虫菊)が放ったこのテレビCMは、一世を風靡しコピーは流行語となった。

『GALAC』2021年10月号の特集は「テレビのなかの『家族』」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

時代はバブル前夜、夫は昼夜なくがむしゃらに働き、一向に家庭を顧みなくなった。そのことに異議申し立てするのではなく、むしろ逆手にとって「だったら自分たちも好き放題しましょうよ」という、妻たちの開き直りの宣言だった。

主婦の本音を堂々と、赤裸々に表現したこの言葉(コピー)が、女優・木野花の不敵な笑みとともに語られるのを見て、テレビの前の妻たちは溜飲を下げたに違いない。令和の現在においてもこの言葉は普遍的な力を持ち、主婦同士の会話で慣用句のごとく使われている。

CMは、視聴者の心の奥底にある想いに光を当て、絶妙なメッセージを投げかけてくる。「家族」という身近でありふれた関係も、CMを通して語られると、新鮮な輪郭が浮かびあがる。

そんなCMのなかに描かれている家族の姿を読み解いてみたい。

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