上司が「やるやる詐欺」、所属部門もジリ貧に 転職、残る、MBA・・・ベストな選択とは?

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いい大学に入り、いい会社に入っても、一生安泰の保証はない。これからの時代は、社会に出た後にどんな努力をするかで将来が決まる。この連載では、「学歴なし、コネなし、カネなし」で世の中を渡り歩いてきた安井元康・経営共創基盤(IGPI)ディレクターが、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談に、本当に役立つ実践的なアドバイスをしていく。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

【キャリア相談 Vol.5】  上司が変化を好まず、改革案を無視します
 はじめまして、30代後半で都内の中小企業で企画開発兼海外営業をしています。安井さんの著書『非学歴エリート』を本屋で見つけ、非常に面白くためになり、現職で取り入れてみようと何度も読ませていただきました。
 相談は、早急に転職などの行動をすべきかどうかです。『非学歴エリート』を読み、自分のキャリアを考えつつ、自分の業務範囲内でいろいろな業務改善の提案をしようと試みているのですが、私が所属する部門の担当役員は、親会社の大企業出身の人間で、あまり冒険をしたくないのか、石橋をたたいても渡らず、変化を好まず、部下に対しても同じスタンスを強要します(口には出しませんが)。なるべく波風を立てたくないワンマン経営者タイプなのかもしれません。
 社長はどちらかというと改革派で、会社をよくするために従業員からの声を聞き、売り上げ向上のため、会社の将来のため、業務改善をしたいと思っており、担当役員にも業務改善のために部下の声を吸い上げるように指示しているようですが、担当役員は部内会議で声高々に「自分が会社にいる間に、この部門を改革する!」と宣言するものの、なかなか行動しません。私は会議で海外企業と交わした10年前の契約内容があまりにも現状と懸け離れているので、「将来のために見直しませんか」と提案したのですが、「また今度、その話をしよう」と話をそらされてしまいました。
 自分の部門の売り上げも、どんどん落ちていき、将来に不安を感じています。この状況を打破するには次の3つのうち、どの選択肢がよりよいか、アドバイスをいただけたらと思います。
①従業員の声にもっと耳を貸す企業に転職する
②担当役員が退職するまで、ひたすらスキルを鍛えつつ待つ(あと5年は在籍しそう)
③心機一転、前から興味があるMBA、もしくはExecutive MBAにチャレンジする
K.Y 
「改革する!」と宣言しながら、行動しない上司

問題の原因は本当に上司にあるのか?

掛け声は威勢がいいが、実際にはアクションを起こさない「NATO」(No Action, Talk Only)、別名「やるやる詐欺」に加えて、部下からの意見や要望が、自分を超えてさらに上に行かないように全力阻止する「鬼のディフェンダー」ぶりを上司が発揮されている状況なのでしょうか。非常にご苦労されていると察します。その中で、将来の選択肢をきちんと考え、行動する準備をされているK.Yさんに敬意を表します。

まず選択肢を考える前に、今一度、状況の整理をしましょう。現在の状況を作り出している根源は本当に上司にあるのか? 問題の原因いかんによって取るべき解決策も変わってきますので、まずはそこが出発点です。

仕事をするうえで私たちは「自分の立場」で思考しがちですが、仕事をスムーズに進めようと思えば、相手が上司であれ顧客であれ、「相手の立場」に立った視点が欠かせません。上司(またはさらにその上の上司)が何を考えているのかを理解して、適切な提案ができているかをつねに考える必要があります。

たとえば、上司は「短期に大きなインパクトの出る施策を話し合いたい」と思っているところに、短期で成果の出ない、小手先の小さな案を持って行っても相手にされないかもしれません。「相手の気づいていない視点を提供しているのだ」という考え方もありますが、それとて相手にとっての現時点における優先順位を間違えると、響くものも響きません。

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