強烈にたくましい「8つの植物」のすごい生き様 「逆境? なにそれ?」という柔軟さ

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③タイヌビエはイネそっくりになって草とりから逃げまくる

タイヌビエはイネ科の一年草で、その名前のとおり、田んぼや田んぼの周辺に生育しています。タイヌビエの若い苗はイネによく似ているので、草とりから逃がれることができます。

イネ刈りの前になると一気に大きくのびて穂をだし、イネよりも早く種を実らせます。イネ刈りの時期になるとタイヌビエは、もうすべての種をばらまいてしまっているのです。

タイヌビエが生えると、イネの収穫が減ってしまいます。除草剤に強いものもいるので、やっかいな田んぼの雑草です。タイヌビエは、田んぼで生き残るために、稲作の仕方に適応して進化した、ずるがしこい植物といえるでしょう。

(画像:『ほんとうはびっくりな植物図鑑』より)

幼虫を撃退する植物

④シロイヌナズナはかじられる音を聞くと毒をだす

シロイヌナズナは、アブラナ科の一年草です。ユーラシアや北アフリカ原産ですが、日本でも帰化植物として、北海道から九州の海岸や低地に分布しています。

シロイヌナズナは、葉を食べるモンシロチョウの幼虫などが天敵です。最近の研究で、シロイヌナズナは自分の葉がかじられる音を聞くと、幼虫が嫌がる辛味成分を含む油の分泌量を増やし、幼虫を撃退しようとすることがわかりました。どこで音を聞いているのかなどは、まだよくわかっていないのですが、植物の世界にはまだまだ私たちが知らない、環境の変化に対応して生き残るためのしくみや工夫があるのです。

(画像:『ほんとうはびっくりな植物図鑑』より)

⑤ザゼンソウは発熱して雪をとかして虫をひとりじめにする

ザゼンソウは、サトイモ科の多年草で、北アメリカ東部や北東アジアの湿地に育ちます。花が咲く時期は、1月下旬から3月中旬で、このとき花が集まった肉穂花序(にくすいかじょ)が発熱し、約25℃まで温度が上がります。周囲の雪や氷を溶かし、いち早く顔をだすことで、その時期には数が少ない昆虫をひとりじめし、受粉の確率を上げているのです。

内蔵ヒーターで雪をとかす植物ってすごいですね。花は小さな花の集まりですが、その形が座禅を組むお坊さんに似ていることから、ザゼンソウと呼ばれます。花を包む茶褐色の部分は包と呼ばれ、つぼみを包んでいた葉が変化したものです。

(画像:『ほんとうはびっくりな植物図鑑』より)
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