優秀だが「他人を見下す子」は何を考えているのか 自己肯定感が低い子の「4つのパターン」

✎ 1〜 ✎ 168 ✎ 169 ✎ 170 ✎ 最新
拡大
縮小

例えば、子どもが「今回のテスト95点だった。〇〇君は60点だった」と言ったとします。

この発言を聞くと、「人はいいの。あなたのその5点失ったところは何だったの! 満点取れたはずでしょ!」と言いたくなるかもしれません。

しかし、子どもがこのような発言をしたら、子どもは必死で自分をアピールして、自分で自己肯定感を上げようとしていると考えてみます。

すると、「よかったわね」「いいね」と承認する言葉のほうが、適しているのではないでしょうか。

以上のように、自己肯定感が高いから、人を卑下するのではなく、実は自己肯定感が低いことが原因である場合もあります。

勉強ができない子の場合

ちなみに、ご参考までに「勉強ができない子の場合で、自己肯定感が低い2つのパターン」についてもご紹介します。

【勉強ができない子】

(パターン3)
自己効力感:低い
自己肯定感:低い

いわゆる勉強嫌いでやりたくないという子です。最も多い層ではないでしょうか。塾に入ってくる子も、このような子が少なくありません。

このケースでは、まずスモールステップを踏んだ学習指導を行うことで、“できる感覚”を積み上げていきます。そのようにして徐々に自己効力感を上げていくことで結果を出し、自己肯定感上昇へとつなげていきます。

(パターン4)
自己効力感:高い
自己肯定感:低い

勉強はやればできると自信を持っているが、口先だけで実際は勉強をやらないため、結果を出せず、今の自分を肯定的に見ることができないケースです。

このような子には勉強方法を教えてあげることや、家庭以外に勉強できる場を作ってあげることで、勉強するきっかけを作ります。その結果、勉強ができるようになり、自らを肯定できるようになっていくことが多いです。筆者は、通塾以外の日も塾に来て勉強できる場を作っていくことで、このような子どものたちの自己肯定感を上げるようなフォローをしてきました。

以上、自己肯定感が低いと思われる子の4つのパターンについて説明してきました。

自己肯定感が高いように見えても、実際は低いということがあります。それは自己肯定感と自己効力感を混同する場合に起こります。そのような勘違いが起こると、逆の対応をしてしまうことになるため注意が必要です。以上のケースが少しでも参考になれば幸いです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

講演、執筆相談はこちらから。

石田勝紀公式サイト

ブログ

Facebook

Voicy

 

 

 

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT