「警視総監まで決裁」警視庁Twitter開設の裏話 「初代中の人」が明かす今だから言えること
「どうせダメだろうと」思いながら上司に提案
警視庁では、毎年重点的に抑止すべき犯罪として「指定重点犯罪」を決めています。実際のところ、ここ十数年、都内の刑法犯認知件数は右肩下がりに減り続けています。特殊詐欺を除いては……。
それまでも被害者となりうる高齢者に向けた広報啓発活動は行われていました。それにもかかわらず被害は減りません。高齢者に直接訴求してダメなら誰に訴求すればいい? 犯人がなりすます息子や孫のほうから親や祖父母に働きかけてもらえばいいんじゃないだろうか。直接働きかけてもらえないにしても高齢者を取り巻く家族や地域で支えてもらえれば被害を減らせるかもしれない。そう考えました。
そして、そのためのメディアを考えたとき、真っ先に思い浮かんだのがツイッターでした。ツイッターの主要なユーザー層と被害防止を訴求したいターゲット層の年齢がおおむね合致しているように思えたからです。
その頃、警察でツイッターに公式アカウントを開設していたのはほんの数県しかありませんでした。しかも、どこのアカウントも開設はしたものの、ほとんど活用されていないような状況です。もちろん警視庁では初めてのことになります。
役所に関わったことがある人ならおわかりになるでしょう。初めてのことを下からの提案で通す難しさが。役所は行政の一貫性ということで安定を求めます。基本的に変化を嫌うのです。
警視庁として初めてツイッターを使う提案を通すのは困難だろうというのは、実行に移す前から自明でした。この見込みは一部で正しく、一部で大きく外れました。一部というよりある一定の階級までは、と言い換えたほうがいいかもしれません。
どうせダメだろうと思いながらもおそるおそる上司に提案をしました。やめておいてもよかったのですが、他県で公式アカウントを開いている事実があるのだから警視庁でもできないはずはないと考えての挑戦でした。
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