【産業天気図・アパレル】低価格志向根強く「曇り」、高額衣料品の本格回復はまだ先
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
アパレル業界は2011年3月まで1年間通じて、「曇り」の鈍調な景況感になりそうだ。リーマン・ショック以来の節約疲れで消費の戻りも一部でみられるものの、回復基調と言えるほど強くない。各社の主軸は今期もやはり低価格帯となりそう。百貨店向けなど高額衣料は厳しい状況になりそうだ。
低価格のファストファッション各社は出店意欲旺盛。ファーストリテイリング<9983>の主力業態「ユニクロ」の10年8月期は、国内店舗純増数が39店と前期の11店から増加する。さらに純増店舗数のうち標準店舗の2~3倍となる500坪以上の大型店が31店を占めるなど、売り場面積も拡大する。しまむら<8227>も前期以上の出店に加え、手薄だった都市部への進出も強化する方針だ。
ただ、3~4月は気温低下でファストファッションも苦戦を強いられた。ユニクロは既存店売上高が3、4月と前年同月比2ケタ減。しまむらやポイント<2685>もそれぞれ同10%前後の減少となった。商品回転の速いファストファッション各社では3、4月には春夏物が店頭に並ぶ。販売商品と気温とのギャップが大きく、春夏物の販売不振で既存店が前年を大きく下回った。
気温が上昇してきた5月以降は、各社ともに既存店の減収幅を狭めている。持ち直しの立役者は機能性の衣料品だ。ユニクロの夏用機能性肌着「シルキードライ」、「サラファイン」や、しまむらの「ファイバードライ」シリーズが順調に売れている。節約疲れが指摘される中でも、「納得品質・機能で低価格」という消費傾向は依然として根強い。