痛快!イケア泉川さんの40歳キャリア 40歳は限界キャリアか、飛躍のチャンスか?

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40歳を超えて最高に面白いキャリアを更新し続ける、イケア・ジャパンの人事部長・泉川玲香さん

35歳以上のビジネスパーソンは、経験を十数年重ねてきた実績があるだけに、今後のキャリアを考えるうえで「今までやってきたこと」にとらわれがちだ。たとえば、個人営業一筋だったら、今後も個人営業しかできない、あるいはやりたくないと思い込む……。

転職を考える場合は、「自分のやりたいこと」や「理想の働き方」、「自分に合う社風かどうか」なんてことは二の次で、今までなじんだ職種・業種にこだわる――。

これまでのキャリアが生かされないのはもったいないと感じるうえに、今更、新しいことをする情熱も勇気もそう簡単には湧いてこないからだ。

だが、イケア・ジャパンの人事部長、泉川玲香さんの「40歳前後での転機」の話を聞くと、もしかしたら40歳なんて年齢はまだまだ「新しいことに挑戦する時期」なのではないか、いやむしろ、これからが人生の上り坂なのではないかと、希望が湧いてくる。

 泉川さんのキャリアは多彩だ。

出発点は、大手放送局のアナウンサー。そこから、日本企業の海外投資担当に転じ、ロンドンに駐在。帰国した後、映画会社の人事、管理部門の長に飛躍。40歳前後で、イケアの人事部長にスカウトされた経歴を持つ。その後、イケアの新三郷店の店長も経験している。

ひとりの人生で、これだけ多様な職業、多様な舞台で活躍ができたらさぞや幸福だろうと、あこがれを抱かずにはいられない人なのだ。

憧れて入ったテレビ局を、たった1年で退職

泉川さんは、「4年制の大学出身の女性は就職できなかった時代」に、難関で知られる大手放送局に入社。配属は、アナウンサー。人もうらやむ職業人生の幕開けだ。

だが、当の泉川さんにとっては、不本意なスタートだったと言う。「記者志望でしたので、配属が決まった瞬間、夢が断ち切られてしまったのです」

職場の雰囲気も、泉川さんが望んでいたものとは言い難かった。

「男女雇用機会均等法が成立して2~3年経っていたので、表面的には男女平等でしたが、実際は『玲香ちゃん、お茶くんで』『新聞取ってきて』、宴会では『お酌して』という世界。田舎者の私は、女性がお茶くみをしたりお酌をすることには慣れていましたが、それでも、苦労して就職してこれか?と傷ついてしまって。理想と現実のあまりの違いに、人生を見直さないといけないなと、途方に暮れてしまったのです」

悩んだ末に、泉川さんはある決断をした。たった1年で、退職してしまったのだ。

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