「スケボー」が子どもたちから熱狂的支持を得る訳 発祥の地ロサンゼルスでは年齢や人種超え人気

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「ガタガタで酷いシロモノだが、それでも当時これで滑るのは楽しかったんだろうね。カリフォルニア住民は、誰もが人生に一度は必ずスケートボードを体験しているはずだよ」

ヒューバーさんがスケートボードの博物館を個人で作ってしまうほど、このスポーツを愛している理由は、自由で型破りで滑りに無限の可能性があるからだと言う。

「例えばフィギュアスケートなら、3回転の一番難しい技はトリプルアクセルでそれ以上はない。回転の方向は一定で、いつも同じ。つまり次にどんな技が出るか観客は予測できちゃう。でも、スケートボードは違う。『スイッチ』と呼ぶ逆軸足バージョンでもできるんだ。まるで右利きの人が左手で字を書くように、瞬時に軸足を切り替えて、反対方向に動くことができる。こんなに自由でスリルのある競技、ほかにはないよ。雪や土や水ではなく、コンクリートに直接叩きつけられて、骨が折れるかもしれない危ない競技って、ほかにある?」

失敗のほうが多いから互いにリスペクトしあう

また、ボード1つさえあれば、ほかには金銭的負担がかからないため、経済格差が障壁にならないスポーツでもあるとヒューバーさんはいう。

こんな形の自作スケート・ボードも昔存在した(写真:筆者撮影)

前述のコーチのバスクさんいわく、もしあまりにもボロボロなボードを使っている子どもがいたら、周囲のスケーターたちが、その子に自分のボードを譲ることも多いという。

「このスポーツでは、技が成功する数よりも、失敗して身体が固い道に叩きつけられる数のほうが圧倒的に多い。何度失敗しても立ち上がる。それは人生とまったく同じ。それをスケーターたちはみんな理解しているから、互いに優しくリスペクトしあうんだ」

コロナ禍のロックダウンの中、ヒューバーさんの博物館と併設するスケート場兼スケート用具ショップは約1年間の間、営業できなかった。やっと最近営業を再開したばかりだ。

この先、何歳になっても板に乗って滑り続けるつもりだとヒューバーさんは言う。「転んで満身創痍になっても、すぐ立ち上がってまた滑っていく。カリフォルニアで育った自分は、そういう生き方しか知らないから」。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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