(第34回)【変わる人事編】日本の教育に巣くった「ゆとり教育」の影響は10年続く

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(第34回)【変わる人事編】日本の教育に巣くった「ゆとり教育」の影響は10年続く

佃 光博

 今回はゆとり教育を取り上げる。「ゆとり教育」は旧文部省が強引に推進した施策で、初等・中等教育(小中高)を本質的に変えた。日本では官庁の行う施策は旧例墨守のことが多く、半世紀以上にわたって継続されてきた八ッ場(やんば)ダムはその好例だが、ゆとり教育は例外。これほど大規模に変えられた施策は珍しい。

 教育制度に関して旧文部省と日教組は犬猿の仲だったが、ゆとり教育に関しては日教組も全面的な推進派。しかし、2000年代後半になって学力低下が明確となり、ゆとり教育は見直されることとなった。来春から使われる小学校の教科書では、理科と算数が30%の増ページになった。

●1980年、1992年、2002年と段階的に強化されたゆとり教育

 採用担当者も教育担当者も、若い世代の異様さに困惑している。自分たちの常識が通用しないというのだ。なぜ若者が変わったか? 原因は1つではないだろうが、間違いなく関係しているのがゆとり教育だ。ただ人事にかかわる人の多くは教育に関心が薄く、大学のランクや有名高校の名前は知っていても、教育制度に関する知識は意外と少ない。

 簡単に言うとゆとり教育とは、それまでの詰め込み教育を改め、勉強の中身と時間を少なくし、ゆとりと潤いのある教育に切り替えようというものだった。この考え方は受験戦争真っ盛りの1960年代、1970年代から存在した。そして少しずつゆとり教育が取り入れられていった。
 受験戦争と言っても、今の学生には理解しにくいかもしれない。現在のAO入試のような無試験入学は1980年代まではなかった。入学試験で所定の点数を得られなければ合格できなかった。どうすれば合格できるのか? 睡眠時間を目安に「4当5落」「5当6落」などという言葉があった。睡眠時間が5時間では不合格、4時間以内なら合格、という意味だ。

 こういう受験戦争のあり方に対してだれしも反対する気持ちは強いから、ゆとり教育のような改革は必然だっただろう。そこで長い時間をかけて小中高の学習指導要領が変えられ、学習内容、授業時間数の削減が進められていった。大きな節目は3回あり、1980年、1992年、そして2002年だが、小改訂も行われてきた。

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