もう地味とは言わせない!「進化系おはぎ」の正体 「映えておいしい」おはぎが続々登場している
今、和菓子が昔に比べて食べられなくなっている、若い世代はあまり食べない、と感じている人は多いだろう。総務省の家計調査によると、2018年の一世帯当たりの和菓子の年間支出金額は、年代が若いほど少なく、39歳以下は70歳以上の半分以下しかない。
地域によってもばらつきが大きく、2016~2018年の平均で最も和菓子を消費する都道府県庁所在地および政令指定都市では、金沢市が1万7604円で全国平均の約1.7倍。次いで岐阜市、山形市、大津市、京都市と、歴史ある町が中心になっている。一方で、ほとんど和菓子屋がない地域もあり、そうした町で日常的に和菓子を食べる習慣は持ちにくい。
和菓子文化の衰退を止めようと、近年は「ネオ和菓子」と呼ばれる、新たに洋風要素を打ち出す和菓子店が登場したり、虎屋や榮太樓總本鋪、両口屋是清、八ツ橋などの老舗が、洋風アレンジした和菓子を作るなどの挑戦をしている。小豆のあんこに頼らない多彩な展開は、小豆が苦手な人やアレルギーを持った人にも対応できる。
こうした和菓子業界の新展開の流れを受け、進化系おはぎの登場とヒットが成立した。考えてみれば、イチゴ大福などのアレンジは昭和の頃からあって、人気を博し定着している。古く懐かしいイメージのおはぎは、その古さごと新しい時代に対応するスイーツとして、すでに新時代に突入しているようだ。
海外展開にも積極的
もっとも、落合社長の視線の先にあるのは日本市場だけではない。2018年にまず台北・士林の高島屋と、シンガポールの高島屋に催事で販売。台湾では凝ったパッケージよりリーズナブルな商品を求められ、シンガポールではわらび餅がよく売れるなど、「同じ亜熱帯でも、国や地域によって全然捉え方が違う」ことに気づいた。
同年夏にはミラノの有名創作ずし店で、コース料理の最後におはぎを出してもらったところ、食通に高く評価された。
「ミラノはカルパッチョがあるなど、日本と食文化が似ているところがあります。おはぎはワインと比べてポリフェノールが3倍もあるなど、健康面での評価をいただきました。また、おいしさはもちろんのこと、控えめの甘さと造形美も評価いただいたんです」
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