3カ月待ち「パンのサブスク」人々が熱狂する理由 「どこのパンが届くかわからない」のに人気沸騰
このコロナ禍、外食できない代わりに、お取り寄せにハマっているという人も少なくないだろう。そんな中、パン好きを超えて大人気となっているパンの取り寄せサービスがある。会員になると、事前には明かされない店から冷凍パンの詰め合わせが届く「パンスク」がそれだが、送料込みで1回3990円というパンにしては高額なサービスにもかかわらず、全国から注文が殺到。テレビで紹介されたことなどが引き金となり、現在3カ月待ちという盛況ぶりだ。
「おいしいパン屋を探すのが楽しみだった私ですが、医療従事者のため県外に出られません。パンスクでパンの旅行ができるようです」(三重県在住、40代女性)。「冷凍パンをこんなにおいしく食べられるとはびっくりでした。すてきな時間をご提供くださり、ありがとうございました」(福岡県在住、40代男性)。パンスクを運営する群馬・桐生市のパンフォーユーには、利用者からこんな声がどんどん届いている。
コロナ禍、1日平均登録者数が5倍増に
パンスクはその名の通り、パンのサブスクリプションサービスである。ネットで会員登録すると、パンフォーユーと提携している日本全国のパン屋のどこかから冷凍でパンが届く。1回で届くパンの数は6〜10個。パンはそれぞれ透明のビニールで個包装されているので、そのまま冷凍庫で保管できる。各パンの解凍方法は、パンスクのページで確認できるようになっている。
現在、利用者は首都圏を中心に8000人以上、パン屋は北海道から沖縄まで30軒が契約している。サービスは2020年2月末にスタート。始まってすぐ、日本もコロナ禍に巻き込まれて巣ごもり生活が求められたこともあり、順調に伸びた。また、再び緊急事態宣言が出された今年1月には、1日当たりの平均新規登録者数が前月の約5倍に伸びた。
今やパンの通販はけっして珍しいとは言えない。にもかかわらず、パンスクがここまでの注目を集めるのはなぜか。それは、そもそもレベルの高い、おいしいパン屋のパンを冷凍で提供していることが理由だ。が、後者については「偶然の出会い」があったことに大きく助けられた。
それを説明するには、現在32歳のパンフォーユー、創業者・矢野健太社長がなぜ、桐生市でパンのスタートアップを立ち上げたのかから見ていく必要がある。
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