批判ある「社員の業務委託化」先行したタニタの今 導入から4年、本社メンバーの15%が移行

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これまでに、タニタ公式ツイッター「中の人」や、製品開発、デザインなど、多岐にわたる分野で業務委託に移行した人たちがいる。

日本経済新聞出版社「タニタの働き方革命」によると、例えば、あるデザイナーの男性は、これまでは、社内の他の人のヘルプ業務などは、通常の給与の中でやることが当たり前だったが、業務委託に移行してからは、追加業務として受発注するケースも出てきた。

また、個人事業主であることを社外でアピールできて、社外からの発注も増えた。個人事業主では経費をどうするかも重要なので、セミナー受講などの自己研鑽についても意識するようになったそうだ。

谷田社長は「もちろん(既存の)社員の主体性も高いのですが、活性化プロジェクトに参加している人の主体性はさらに高いものがあると感じました」と手応えを語る。

人事制度の枠にとらわれない報酬設定が可能に

業務委託になることは、会社との雇用契約に基づく従業員ではなく、取引先の個人事業主になることを意味する。労働法の保護の対象外になること以外にも、社内の人事制度の対象外にもなる。

タニタは、日本の伝統的な大企業に多い「職能資格制度」を導入している。「職務遂行能力」をベースに、従業員をランク付けしていく仕組みだが、「評価基準が曖昧なため、年功序列になりがち」との批判も根強い制度だ。

個人事業主になった場合も、既存の報酬をベースにしているため、大きすぎる変動はないものの、人事制度の枠にとらわれない報酬の設定が可能になった。

タニタ経営本部社長補佐の二瓶琢史氏は、「社員の時よりも上がる時の幅は大きいと思います。ただ一方で、仕組みとしては3年契約を1年で更新する形(1年経った時点で、業務内容・報酬額を協議・調整し、新たな3年契約となる。仮に不更新になっても、残り2年は契約が継続する)を取っているので、あまりにも意図が食い違うような高額な報酬請求にはなりません」と語る。

また、従業員と個人事業主とでは、課税の仕組みが異なるため、やり方次第では税制面でのメリットもありうる。日本経済新聞出版社「タニタの働き方革命」によると、2017年に業務委託に移行したメンバー8人が同年に会社から受け取る報酬金額から、社会保険料・税金を引いた手元現金は、前年の従業員時代よりも19%増加したという。

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