ワールドランキングから女性を見る

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プロゴルファー/小林浩美

 徳島県と高知県の境に竹ヶ島という港町がある。その港内を海中観光船で巡った。海中にはサンゴや熱帯魚がたくさんいた。その中に体長9センチほどの黄色いかわいいフグみたいな魚がいた。その魚は有毒で間違って食べると危険な状態になるらしい。それでついた名前が「キタマクラ」。

さて、たいていのスポーツには今やワールドランキングというものがある。世界における選手の位置づけを示したものだ。女子ゴルフ界も2006年からスタートした。コーポレートスポンサーが付いて、米国を中心に日本、韓国、ヨーロッパ・オーストラリアの各ツアーが参加している。順位を決めるポイントの計算方法は複雑で、細かい。各ツアーの試合ごとの順位によって選手にポイントが加算されるのだが、同じ順位でも試合によって加算ポイントが違う。
 たとえば、メジャー大会の方が普通のスポンサー大会より配分ポイントが高い。またスポンサー大会でもランキング上位選手が多く出ている試合は配分ポイントが高くなるため、選手に付くポイントも高くなる。したがって、ランキング上位選手が多い米ツアーは配分ポイントが高く、ワールドランキングは全体的に見て的を射ていると思う。

これまで断トツに強かったアニカ・ソレンスタムやロレーナ・オチョアの引退で、女子ゴルフ界は戦国時代に入っている。5月末の上位陣は、1位は韓国のシン・ジエ、2位は日本の宮里藍、3位はノルウェーのスーザン・ペターセン、4位は台湾のヤニ・ツェンの各選手で、ポイントは肉薄している。

このワールドランキングベスト100人の中の国別内訳は、1位韓国の33人。2位は日本と米国の21人。これを見ると、日本と韓国で全体の50%を超える。アジアでこれだけゴルフが盛んで人気があると同時に、女性の職業としても人気が高いということだろう。実際、女性が20代前半で何千万とか億単位の収入を得る職業はそうそう多くない。と同時に自分の努力次第で報われる仕事でもある。他の仕事でいえば外資系企業の管理職とか自営業がまず頭に浮かぶ。

一方、女性の社会進出はかなりあるものの管理職までとなると十分評価されていないとの報道もある。女性が職業人として高く評価される環境がある国は、それだけ選択できる職業があり、人材も分散されやすいと思う。
 逆にそういう環境が少ないと人材も集中しやすい。特にゴルフは体力にそんなに自信がなくても入りやすいスポーツでもある。そうすると多くの人が大きなチャンスを求めてゴルフを目指し、いい意味で能力のある人たちが集まりやすいのではないだろうか。その国の女性が社会で活躍できる環境はどうなっているのか、ワールドランキングから見てもおもしろい。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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