1938年創業の紀文食品が今になって上場した理由 堤裕社長「企業価値を高め社員に喜ばれる会社に」

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長田:さて、東京証券取引所が2022年4月から、現在の5市場(東証1部・2部・JASDAQスタンダード・マザーズ・JASDAQグロース)から、3市場(プライム・スタンダード・グロース)に再編し、上場基準をより一層厳格化します。ところが、このほど、全上場企業3767社の中で1部に上場している2191社(全市場上場き)のうち、その約30%に当たる664社が来年4月の再編で最上位となる「プライム市場」に上場するための基準を満たしていないことが明らかになりました。

今回の再編も、上場後に業績が低迷し売買が成立しにくくなる流動性の低い企業が散見されるようになり、東証1部上場の株式全銘柄を対象とする東証株価指数(TOPIX)の信頼性が揺らいできたことが背景にあります。今後、紀文食品が企業価値を持続的に高め(現在の自己資本比率は15.5%と低いが、2023年度末に30%にする計画)、プライム市場でも存在感を発揮し続けるための戦略について答えてください。

プライム市場への要件はすべて適合

:当社は上場に際し、東証が示す新基準での審査をいただき、適合するという判断をいただいたうえで市場第1部へ配置されました。また今回の上場区分再編に伴う適合状況に関しては、プライム市場への要件にすべて適合している点をあらためて判定していただきました。

なお当社では、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを構築することを重要な課題と位置づけ、コーポレート・ガバナンスの充実に継続して取り組んでおります。

一例として2019年より、経営の透明性を高めるため監査等委員会設置会社に移行しました。また経営理念やビジョンをホームページやさまざまな資料内に明示するとともに、2021年度から2023年度までの中期経営計画を通して、将来的な成長に向けた方針と数値目標とその実現に向けた具体性のある戦略・戦術を情報開示し、経営に対する理解の向上に努めております。さらにESGやSDGsへの取り組みを促進し、資源管理に基づいた原材料の調達や製品の賞味期限延長による食品ロスへの対応などを具体的に実践してきました。

自然の恵みに感謝し環境との調和を図りながら、安全・安心で安定した食の提供を継続して行い、「豊かな食」を創造する企業である当社グループの、さらなる企業価値の向上に努めます。

今後も当社製品やサービス、さらにさまざまな情報発信と対話を通じて、社員・顧客・地域社会・株主など当社グループを取り巻くさまざまなステークホルダーの方々と、公正で良好な関係を構築していきたいと考えています。

(撮影:今井 康一)
長田 貴仁 経営学者、経営評論家

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おさだ たかひと / Takahito Osada

経営学者(神戸大学博士)、ジャーナリスト、経営評論家、岡山商科大学大学客員教授。同志社大学卒業後、プレジデント社入社。早稲田大学大学院を経て神戸大学で博士(経営学)を取得。ニューヨーク駐在記者、ビジネス誌『プレジデント』副編集長・主任編集委員、神戸大学大学院経営学研究科准教授、岡山商科大学教授(経営学部長)、流通科学大学特任教授、事業構想大学院大学客員教授などを経て現職。日本大学大学院、明治学院大学大学院、多摩大学大学院などのMBAでも社会人を教えた。神戸大学MBA「加護野忠男論文賞」審査委員。

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