1938年創業の紀文食品が今になって上場した理由 堤裕社長「企業価値を高め社員に喜ばれる会社に」

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長田:一方、失敗から学んだ教訓とは何ですか。80周年を迎えた2017年に、100周年に向けた成長戦略として打ち出したグローバル展開で、これらの教訓をどのように生かしますか。

:最大の失敗は食品事故でした。1980年1月4日付の新聞で、紀文がはんぺんに過酸化水素を使っていると報道されたのです。当時は、色を白くするために過酸化水素を使うのは当たり前とされていたのですが、この事実が指摘されて以降、当社は過酸化水素を使わないと宣言し、一切の使用をやめました。アメリカをはじめとする海外で展開する場合にも、このような食品事故を絶対に起こさないという信念をより一層強く持ち展開していきます。

品質はメーカーにとっての生命線です。「疑わしきは仕入れせず、製造せず、出荷せず、販売せず」という紀文ものづくり哲学に基づき、食の安全への意識を社員1人ひとりに定着を図っています。

2016年には、「食の安全・安心」を追求することに特化し、紀文グループの品質衛生に関わる、検査分析、コンサルティングを実施する「株式会社紀文安全食品センター」を設立し、ますます高まるお客さまの安全、安心への期待に応えています。

海外進出の苦い記憶

もう1つの失敗は、皮肉なことに今回上場の大きな目的としているグローバル化です。当社は1970年代から海外進出を積極的に進めてきました。

アメリカに2つ、イギリスに1つ、ハワイに1つ、そして、タイにも1つ、工場を相次いで建設し現地生産を開始しました。しかし当時は、水産練り物製品が外国の消費者になかなか受け入れてもらえませんでした。そこで、法人だけを残し、生産もタイを除いて撤退したのです。

この結果、大きな打撃を受け存亡の機に立たされました。ところが、今はどうでしょうか。前述したとおり、海外における日本の食品に対する消費者ニーズは大きく変わりました。かつての失敗から学んだ教訓を生かし、大成功を遂げたいと考えております。

長田:「私は失敗したことがない、ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」。このエジソンの名言を実践しているかのようですね。

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