証券界「お騒がせ企業」ぶっ飛んだ上場計画の中身 ゲームストップ騒動巻き起こしたロビンフッド
こうした革新は多くのミレニアル世代が初めて株式投資に参入するきっかけとなったが、市場関係者からはロビンフッドのアプリはギャンブル的な投資を助長しているとの指摘が出ている。各種研究によれば、活発な売買は一般に投資家のリターンを悪化させる。ロビンフッドは3月、アプリの紙吹雪表示を取りやめると発表した。
ロビンフッドは証券業界を大きく揺るがしており、2019年にはチャールズ・シュワブ、TDアメリトレード、イー・トレードといった競合のネット証券が手数料ゼロへと追随を迫られている。
ロビンフッドは、暗号通貨取引、当座預金口座、「ロビンフッド・ゴールド」と呼ばれる有料のプレミアムサービスなどに事業領域を拡張。暗号通貨の預かり資産総額は115億ドルに達する。
リスク要因の1つは「規制当局の監視」
庶民の味方を標榜するロビンフッドだが、そうした平等主義的なイメージはゲームストップ株騒動の中で生まれた攻撃をかわす盾とはならなかった。同社が特定銘柄の取引を一時停止すると「一般人を犠牲にしてウォール街の機関投資家に味方した」として利用者がロビンフッドをやり玉に挙げるようになった。
目論見書の中でロビンフッドは、規制当局の監視をリスク要因の1つに挙げている。「当社が属する業界の高度に規制された特性を考えると」調査、訴訟、和解といった問題への対応が必要になることが予想される、という。
サービスの停止、証券詐欺、ハッキング、今年初めに生じた取引制限などに関する集団訴訟についても注意を喚起した。ロビンフッドは、同社のアプリを利用してリスクの高い取引を行った後に昨年自殺したアレックス・カーンズ氏の遺族から訴えられ、和解に至っている。
前出のハスレット氏によれば、ロビンフッドは「ガチガチの規制環境を超高速でぶっ飛んでいる企業だ」。
柴犬をモチーフに冗談として始まったミーム暗号通貨「ドージコイン」の需要減も、ロビンフッドはリスク要因の1つに掲げる。暗号通貨取引による今年1〜3月期の売上高のうち、3分の1がドージコインによるものだったからである。
ロビンフッドは「HOOD」のティッカーシンボルでナスダック市場への上場を予定。IPOの主幹事はゴールドマン・サックスが務める。
(執筆:Erin Griffith記者)
(C)2021 The New York Times News Services
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