証券界「お騒がせ企業」ぶっ飛んだ上場計画の中身 ゲームストップ騒動巻き起こしたロビンフッド

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ゲームストップ騒動を巻き起こした、株取引アプリのロビンフッドが上場に向けた目論見書を提出した(写真:Gabby Jones/Bloomberg)

コロナ禍の中で人気と悪名を高めた株式取引アプリのロビンフッドは7月1日、待望の新規株式公開(IPO)に向けて重要な一歩を踏み出し、2021年1〜3月期の売上高が急増した反面、同損失が14億ドルを上回ったことを明らかにした。

IPOに向けて目論見書を提出した前日には、金融取引業規制機構(FINRA)に7000万ドルの制裁金を支払うことで合意していた。利用者に誤解を与えたりサービスの停止で不利益をもたらしたりしたためで、FINRAが1度に科す制裁金としては過去最大だ。

シリコンバレー企業には好ましくない理由から全国的に注目されるようになる企業が少なくないが、ロビンフッドも1月、そうした企業群の仲間入りを果たした。投資家の大群がビデオゲーム販売会社ゲームストップなどのいわゆる「ミーム銘柄」の株価を共闘買いで急騰させると、ロビンフッドは一部銘柄の取引を制限。これに利用者が激怒した。

ゲームストップ株騒動で焼け太り

ロビンフッドは保証金の積み増しが必要になったためやむをえず講じた措置だと釈明するが、利用者からは50件近い訴訟を起こされ、カリフォルニア州メンローパークの本社前でも抗議活動が行われるようになった。その1カ月後、経営陣は議会公聴会に呼び出され、厳しい叱責を受けている。

ところがロビンフッドはこの混乱を通じて知名度を高め、利用者を何百万人と増やした。

新しいタイプの投資家に株取引の機会をもたらすという意味で、ロビンフッドは「庶民の味方」を自認する。利用者から取引手数料を取ることはなく、利用者による売買注文をウォール街の企業に回送し、その見返りとして支払われる少額の手数料を積み上げることで収益を上げるスタイルだ(この仕組みは「ペイメント・フォー・オーダー・フロー=PFOF」と呼ばれる)。

そのロビンフッドの財務の全容が、今回の目論見書で明らかとなった。現在、1800万人近い利用者がロビンフッドのアプリで株式や暗号通貨(仮想通貨)を売買しており、同社が管理する資産は810億ドルにのぼる。

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