「ワタミがブラックとは全然思っていない」 桑原社長が語る、ワタミの進むべき道(前編)
――ボリュームゾーン活性化のために必要なことは?
それぞれの業態の原点に回帰する。たとえば、わたみん家は炭火焼を中心とした専門性の高い低価格チェーンとしてスタートした。そこにフレンドリーで元気なサービスがあるか、炭火焼を中心とした安価なチェーンに合っているのか。もう1回持ち直していこうとしている。
また、和民は安心安全手作り、季節感がある。おいしいものを安価で食べられる。好きなサービスがある。この安心感で売ってきた。そこで一つずつ見直しをかけているところ。7月8日で20店を一新した。これだけではなく、全体の6割まで間引けるかどうか。言ってみれば、店数をカニバリしているところも含めて落としていけるかということだ。
価格はこれ以上、上げられない
――人件費など諸経費が上昇しているが、値上げはしないのか。
適正価格水準は、和民が客単価2800円、わたみん家は2600円。これがお客様に許していただけるギリギリの価格帯だと思う。従来は、和民が2650円、わたみん家が2450円だった。それぞれ5%余り上げさせていただきたい。
もちろん、単純な値上げではなく、それぞれメニューミックスになる。価値が上がらなかったら、ただの5%値上げになる。だが、同時にクオリティを7~8%上げることで、値上げにご理解をいただきたい。
――手応えはどうか。
お客様から見ると、バラエティを増やしたことになる。単価が上がっていくというより、もう1品頼んでいただけるような政策を取ったので、値上がりしたというイメージではないと思う。
――なぜこの時期に変えた?
季節や宴会のメニューで少しずつ変えてはいるが、それなりに価値を上げながらということになって、ここまで時間がかかった。
――この値上げで時給アップは吸収できるのか。
時給だけであれば吸収できるが、人件費のアップはわれわれだけでなく、関連する取引先にもいえる。今後は全体のコストアップをどこで吸収するのかという局面になってくる。ただ、価格はこれ以上、上げられない水準だと思う。