「ワタミがブラックとは全然思っていない」 桑原社長が語る、ワタミの進むべき道(前編)

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桑原豊(くわばら・ゆたか)●1958年生まれ。78年にすかいらーく入社。83年藍屋入社。98年ワタミフードサービス(現ワタミ)に転職、同年に営業本部長。翌99年に常務取締役に就任。ワタミダイレクトフランチャイズシステム代表取締役を経て2009年から現職

もう一つは、外食というのは新卒が3年経つと離職率が5割。われわれもそれに近い水準はある。一方で、独立して辞める人もいるが、業界水準レベルだ。

今年の新卒からしっかりとデータを取るが、日本の全産業の平均が3割なので、これを下回る離職率を目標にしていく。実態を継続的に外部に出していく。これによって、ガラス張りの状況で見ていただけるし、社員の人たちにも意思として伝えていける。

ブラックという定義は今でも困惑している。ネットを批判するわけではないが、これでどれだけ多くの人が悲しんでいるか。社員、社員の家族、株主、取引先の方に悲しい思いをさせている。

ブラックだなんて全然思っていない、過去も今も、将来も。だから自分たちの中身を出していく。実態を変えるだけではなく、実態を社会に示していくということが大事。

風評の払拭に近道はない

――ブラック批判の影響については?

肌感覚だが、われわれだけが厳しくなったのではない。これは業界全体にいえることであって、集客についてまったく影響がないとは思わない。この風評ばかりはどうやってもなくすしか仕方がない。そこが実態を示すというところにつながる。

今、入社する人は実態を見たうえで選んでくれている。これだけ言われているところに入社するのは不安じゃないですか。逆に、彼らが言ってくれるのは「なぜここがブラックと言われるのか」。一緒に「冗談じゃない」という思いを持って来てくれている。こういう1つずつの積み重ねしかない。

一般の方々にも見ていただいて、ネットで騒いでいるほどではないじゃないかということをわかってほしい。あれだけ騒がれても社員は離れていない。そこが社員に感謝するところ。それは実態を理解しているからだと思う。

(撮影:今祥雄)

※ 後編「ワタミの人手不足は解消に向かっている」はこちら
又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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