「上司は偉い」の勘違いが生む日本企業の重大欠陥 マネジャーはあくまでも「機能」にすぎない

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日本企業にはびこるヒエラルキーの問題を解説します(写真:mits/PIXTA)
日本企業では当然のように「上司」「部下」という言葉が使われていますが、長きにわたって次代の経営者やリーダー育成に携わってきた伊藤羊一氏は「バカバカしい」と一蹴します。いったいなぜなのでしょうか。新著『FREE, FLAT, FUN これからの僕たちに必要なマインド』を上梓した伊藤氏が解説します。
前回:自己変革できないと悩む人が陥っている意外な罠
前々回:逆境も笑って乗り越える「強い心」を鍛える4秘訣

「上司」「部下」という言葉は使わない

私は普段から、リーダー、マネジャー、メンバーという言葉を使い、「上司」「部下」という言葉は使いません。本書では文意を伝えるために使っている箇所もありますが、自分では「上司部下(という言葉)撲滅委員会の委員長だ!」といっています。なぜか。もうおわかりですよね。

「上とか下ってなんですか?」ということです。もちろん意思決定経路として上位にあるという意味ですが、この言葉を使うことで「上司は上だから、人間として偉いのだ」「従わねばならぬのだ」と自ずとヒエラルキーを重視して、コミュニケーションが不自由になると考えているからです。

繰り返し言います。「リーダー」は「機能」でしかありません。

私が新卒で入行した銀行では、ポジションによって、使う椅子の形が違っていました。課長になるとひじかけがつく。副支店長や副部長になると背もたれが高くなる。支店長や部長になるとさらに背もたれが高くなったうえ、生地の布が革になる。冗談のような本当の話ですが、これってどうなんでしょう? 実にバカバカしいですよね。

もう30年も前の話なので、今は確実に変わっていると思いますが、そのバカバカしさの感覚が「上司」「部下」という言葉に残っていると感じます。「上だ、下だ」なんていう言葉は「やっぱりダサい」なと感じます。

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