「上司は偉い」の勘違いが生む日本企業の重大欠陥 マネジャーはあくまでも「機能」にすぎない

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もう1つ、コミュニケーションの観点で、ヒエラルキーが強いと情報伝達が自由でなくなる例を紹介します。

私は前職のプラスで、最終的に600人のカンパニーのバイスプレジデントになり、意思決定ラインにおけるナンバー2として事業全体を統括しました。そしてマーケティング本部長のときに、本部の全社員と1on1を行い、FLATな人間関係をつくって、その後もLINEやカカオトークなどでつながって、各支社のメンバーと自由なコミュニケーションを取っていました。

あるとき、私はとある施策で「厳しいけれど、これをやることで今の不調を乗り切るのだ!」という方針をWeb会議で全社員に伝えました。しっかり準備してロジックも整合させて感情にも配慮した施策に仕上がったと自分では考え、その発表を終えてほっとしていました。

「若手は総スカンだから」と怒りのメッセージ

そのとき、1通のカカオトークが入りました。それは、ある支社のメンバーからでした。

「バイス(当時の私はこう呼ばれていました)、あれはダメよ。支社みんな、とくに若手は総スカンだから!」

怒りのメッセージです。

「えっ?」と思った私は、ほかの支社でよくコミュニケーションを取っていたメンバーに聞いてみました。そうしたら同じ反応で「仕事へのモチベーションがなくなった」と。「まわりもそう言っている」と言うではありませんか。

「そうか……」と軽くショックを受けながら、そんな訴えがあったことは言わずに、意思決定ラインで私とつながる支社長に電話してみると……。

「支社はみな、伊藤バイスプレジデントの話されたことをそのとおりだ!と受け止めております」ときた。

「全然違うじゃない。裸の王様だな、自分は」と、このとき痛感しました。ヒエラルキーが強い組織では、ここに書いたようなことが起きやすくなります。こういう事態になるのがいいのか、それとも、耳の痛い情報も含めて、あらゆる意見が自由に行き来したほうがいいのか。

「自由に情報が行き来した結果、統制が取れなくなったらいかんだろ」と思う人もいるでしょう。いっていることはわからないでもないですが、それでは正直、リーダーとしては失格です。

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