アメリカ「高層マンション崩壊」はなぜ起きたのか 2018年の調査では構造的な問題指摘されていた

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倒壊が発生したフロリダ州サーフサイド市の市長、チャールズ・バーケット氏は、「雷が落ちたようなものだ」と言う。「アメリカでビルが倒壊することは、まったくもって普通ではありえないこと。この状況には何か非常に大きな問題があったのだ」。

連邦政府機関である国立標準技術研究所(NIST)は、倒壊の解明に役立つ資料の特定と保存を期して、科学者や技術者を派遣して予備調査を行った。当局関係者によると、この調査には現地、州、連邦レベルで多くの機関も参加する予定だが、どの機関が主導するかは明らかになっていない。

高層マンションの多くが築数十年以上

事故の解明は、倒壊したマンションの敷地周辺にある姉妹ビルだけでなく、南フロリダの大部分にとっても緊急課題でもある。同地域では、大西洋の端にネックレス状に建ち並ぶ高層マンションの多くが築数十年も経過しており、ハリケーンの風や、高潮、海水の塩分などで悪化の一途をたどる、絶え間ない攻撃に耐えているのだ。

(写真:Erin Schaff/The New York Times)

構造エンジニアらは、何十年も建っていたビルが、何の変哲もない夏の夜に突然崩壊したことに衝撃を受けた。

しかし、甚大な被害をもたらした崩壊の3年前、あるコンサルタントは、プールデッキの下のコンクリートスラブに「大きな構造的損傷」があり、ビルの下の駐車場の柱、はり、壁に「おびただしい」ひび割れや崩れがあるという憂慮すべき証拠を見つけていた。

監視カメラの映像は遠くから撮影されたもので、災害の一場面を切り取ったものにすぎないため、そこから決定的な結論を導き出すことはできないが、先週この映像を確認したエンジニアの中には、崩壊が構造物の底部近くの特定の場所、おそらく、ビルの下の駐車場か、1階から数階までの部分で始まったことを示唆しているようだと言う者もいた。

ビデオで見る限り、最初に、一見して巨大な塊が垂直に落下するかのように、建物の一部が唐突に崩れ落ちた。それは、建物中央の南端の下(プールから遠くない)で柱が折れたかのような様子だった。悪夢のような雪崩のように、故障は瞬く間に広がり、建物の中央部全体を崩壊させた。その数秒後には、東側の大きな部分も倒壊した。

映像を見た複数の構造エンジニアと印象が一致したデューゼンベリー氏は、このような故障は「基礎関連の問題、つまり下層部の腐食やそのほかの損傷の可能性を示唆している」と話す。しかし、腐食が原因であるとは断言できないとし、「40年も放置されてきた設計や施工のミスを排除することはできない」と付け加える。

また、マイアミ在住のエンジニアで、建築部材の故障に関するフォレンジック調査の経験を持つリック・デ・ラ・ガーディア氏は、間取り図上の柱を通覧し、ビデオ映像を吟味した限りでは、倒壊が基礎よりも高い位置、おそらく2階から始まった可能性もあると述べている。

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