アメリカ「高層マンション崩壊」はなぜ起きたのか 2018年の調査では構造的な問題指摘されていた

拡大
縮小
6月24日に崩壊したフロリダ州マイアミ郊外にあるマンション「シャンプレイン・タワーズ」。これまでに11人が死亡、150人以上が依然行方不明の状態にある(写真:Erin Schaff/The New York Times)
この記事の画像を見る(4枚)

アメリカ史上最悪の建物倒壊事故の調査はまだ始まったばかりだが、フロリダ州マイアミ郊外で起きたこの事故のビデオ映像を調べた専門家らは、初期の故障が構造的な大崩壊を引き起こした可能性がある、マンションの最下層部、おそらく地下駐車場の中か下にある場所に注目している。

構造物内の故障が緩やかに拡散したこの現象は、「パンケーキクラッシュ」と呼ばれ、設計上の欠陥や、マンションが建設された40年前の建築基準法では認められていた堅牢性の低い構造など、さまざまな理由で発生した可能性がある。

しかし、初期の致命的な故障がなければ、このような事態は起こりえなかった。そして、倒壊後数時間の間に公開された解像度の粗い監視カメラの映像の精査が行われた結果、それがどこにあったのかについて初めて手がかりが得られた。

依然、150人以上が行方不明

多くの構造物の崩壊を調査してきたコンサルティングエンジニアのドナルド・O・デューゼンベリー氏は、「故障は構造物の底部かその近くから始まっているように見える」と話す。「マンションの高所で故障が発生して、それが下に向かって落ちて行くように拡散したわけではない」。

初期の調査は、6月24日午前に12階建てビル「シャンプレイン・タワーズ・サウス」の半分が崩落してできた巨大ながれきの山を、救助隊が4日目にして、かき分けて行ったものである。新たな遺体が発見されるにつれ死者数は11人に上り、150人以上が行方不明となっている。

毎年、多くの橋や高架橋、建設中のビルが故障する一方で、居住中のビルが壊滅的に崩壊することは爆弾や地震がない限りまれであり、捜査当局は、なぜ緊急の前触れもなくこのような事態が発生したのかを理解するのに苦労している。

次ページ崩壊は周辺ビルにとっても喫緊の課題
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT