今年の通常国会が6月16日に閉会した。衆議院議員の任期は10月21日で満了を迎え、それをにらんで総選挙が行われる。
任期満了前の衆院選となると、臨時国会を開いて解散しなければならない。ただ、臨時国会をわざわざ開くなら補正予算を通し、その予算を追い風に選挙に打って出てはどうかという話もあるようだ。自民党の若手議員らは50兆円規模の補正予算の編成などを提案している。
過去にも選挙前に給付金を支給
過去にも、補正予算で計上した給付金を選挙前に配り、野党から「選挙目当て」と批判されたことがあった。
2015年度補正予算で年金生活者等支援臨時福祉給付金の経費が計上され、2016年春に65歳以上の人1165万人を対象に1人3万円が配られた。その後、2016年7月の参議院選挙が行われたが、参院選の時期はほぼ決まっているから、給付が配られる時期を見定めていたと疑われても仕方がない。
2017年10月の衆院選の前には、2016年度第2次補正予算で、住民税非課税者2200万人を対象とした臨時福祉給付金が計上され、2017年春から1人1万5000円が支給された。
では、なぜ当初予算ではなく補正予算に計上するのか。それは、当初予算にはふさわしくない臨時的な支出であることと、当初予算だと4月に年度が始まってすぐに支出しにくいからである。
本来、その年度の補正予算は3月まで(厳密に言えば、出納整理期間の5月末まで)に支出することが前提だが、補正予算でも翌年度への繰越が認められている。翌年度への繰越を前提として、補正予算で計上した予算は年度が変わっても予算として有効で、すでに執行を見込んでいるから年度が変わってすぐに支出できる。
当初予算だと、与野党の攻防の焦点となることから新年度が始まる直前の3月末ごろに成立するのが通例だ。それから予算を執行するとなると、年度が変わってすぐには執行できない。それゆえに、前年度の補正予算に給付金を計上するというトリッキーな方法が、第2次安倍内閣以降では多用されているといってよい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら