「ソーシャルビジネス」で失敗しがちな人の特徴 ビジネスモデルを考える前に必要なこととは

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当初考えたビジネスアイデアがそのままうまくいくとは限りません。ビジネスアイデアというのは、あくまでも仮説です。実際にやってみないと、うまくいくかはわかりません。頭がいい人が考えればうまくいくのなら、東大出身者はみんな起業したら成功するはずです。でもそうはなっていませんよね。何度も試行錯誤を繰り返し、やりながら修正を繰り返していくのです。

だから、うまくいかないビジネスモデルはどんどん変えていかなければいけない。そのときの拠り所となるのが「ソーシャルコンセプト」なのです。ソーシャルコンセプトという社会づくりの設計図=「幹」がしっかりあるからこそ、ビジネスアイデアという「枝葉」の部分はどんどん変えていけるのです。

一方、「このビジネスアイデアはうまくいく!」と思って始めた事業がもしうまくいかなかったらどうなるでしょう。そこでパタッと止まってしまいますよね。「ビジネスモデルの前に、まずソーシャルコンセプトをつくろう」と僕が口を酸っぱくして言っているのは、そのためでもあるのです。

成功するかどうかは、続けるかどうか次第

ソーシャルコンセプトがしっかり固まっていれば、あとは続けるかどうかだけです。続けていれば100%成功します。失敗するのは、途中でやめてしまうからです。

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従来のビジネスは、ビジネスチャンスを狙って勝負に出ます。逆に、チャンスがないとわかれば撤退するのも早い。それに対して、社会問題解決のためのビジネスは「何のために事業をやるか」が明確なので、儲からないからといってすぐにやめるわけにはいきません

ソーシャルコンセプトに沿って粘り強くやり続けていれば、ビジネスモデルは変わっていっても、いつか必ず成功します。「9勝1敗」、いや、「10勝0敗」にすることだって不可能ではないはずです。

田口 一成 ボーダレス・ジャパン社長

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たぐちかずなり

1980 年生まれ。福岡県出身。早稲田大学卒業後、株式会社ミスミ(現・ミスミグループ本社)を経て25 歳で独立。ボーダレス・ジャパンを創業。世界15 カ国で40 のソーシャルビジネスを展開。従業員は約1,500名、グループ年商は55 億円を超える。さまざまな社会問題をビジネスで解決する同社は、「グッドデザイン賞」「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞。個人としても、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」や日経ビジネス「世界を動かす日本人50」などに選出されている。『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』など、メディア出演も多数。

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