「ソーシャルビジネス」で失敗しがちな人の特徴 ビジネスモデルを考える前に必要なこととは

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縮小

また、どんな起業指南書にも、「成長マーケットに入れ」と書いてあります。縮小する市場で減っていくパイを狙って戦ってもみんなが消耗するだけです。逆に、市場全体が大きくなっていけば、その中で多少の競争やシェアの奪い合いがあっても、どこかにおこぼれはある。そうした理由から、これから伸びていくであろう成長マーケットを見定め、そこで優位性を保てるビジネスモデルを考えていくのが一般的です。

それに対し、ソーシャルビジネスはまったく異なるアプローチをとります。貧困や人種差別、環境問題といった「社会問題が生まれている原因」を捉え、その原因に対して有効な対策を考える。そうやって社会を確実に変えていくのがソーシャルビジネスです。ですから、理想の社会づくりの設計図=ソーシャルコンセプトをつくり、それをビジネスモデルに落とし込んでいく、という順番で考えていくのです。

ビジネスモデル先行だと薄っぺらくなる

ところが、下手にビジネス経験のある人ほど間違いがちです。ついつい、うまくいきそうなビジネスアイデアが先行してしまう。ビジネスアイデアが先にあって、それを後付けで社会問題にはめ込もうとするのです。残念ながら、この順番では社会問題に対する本質的なアプローチにはなりません。

こういう“なんちゃって社会性ビジネスは、いくら概念上はきれいに見えても、現場の実態は大したインパクトになっていないことが多いのです。後付けの社会貢献はPRにはなっても、実態は薄っぺらいことは自分自身がいちばんよくわかっています。それをPRし続けても、自分が後ろめたい気持ちになるばかりです。そういう人ほど、「ソーシャルビジネス」という言葉を否定します。ビジネスは本来ソーシャルなものであって、あえてソーシャルビジネスという必要はない、と。

でも、本物のソーシャルビジネスは違います。最初はビジネスアイデアなんかいっさい考えません。考えるのは、「この社会問題が起こっている本質的な原因は何なのか」。現場に入って、課題を抱える当事者に何度もヒアリングを重ねながら、徹底的にその原因を追究していきます。

そうやって社会問題の「原因」を突き止めることができて初めて、それに対する「対策」が見えてくるのです。ボーダレスグループの起業家にも、このソーシャルコンセプトができあがるまでに1カ月以上かかる人もいますが、僕はソーシャルコンセプトができあがるまではビジネスの話はいっさいしません。

こうやって見えてきた社会問題の原因に対する「対策」を忠実に体現した商品・サービスを作り、それをビジネスモデルに落とし込んでいく。この順番でなければ、ピントの外れたビジネスモデルになってしまい、社会問題を解決する社会ソリューションにはなりません

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