雨の日は「頭痛がする」「ダルくなる」納得の理由 人間だけでなく犬や猫も「気圧の変化」に弱い

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鳥類だけでなく、他の爬虫類や両生類、昆虫も、気圧を感じて行動しているだろうと思われる点がいくつもあります。

例えばアリは気圧の変化を察知し、雨が降る前に、巣穴を埋めて水が入っていかないように事前に準備をするという話があります。天気が崩れてくるとゲコゲコ鳴き始めるアマガエルは、皮膚に湿気を感じるセンサーがあり鳴いているという説もありますが、気圧を感じて鳴くのではないかという専門家もいます。

犬や猫などのペットを飼っている方は、天気が崩れたり台風が近づいてきたりすると、ペットが体調を崩すというのはご存じでしょうし、人間だけが気圧の変化を感じないというのは考えにくいことなのです。

こういったことを考え合わせると、人間の遺伝子の中にも気圧の変化を感じる力が保存されて残っているだろうと考えるのが自然です。ただ、文明の発達とともに、人間はさまざまな能力が退化しています。そのうちのひとつが気圧の変化を感じる力であると私は考えています。

狩猟時代や農耕時代は、台風や吹雪などの天気の変化が、生死に直結していました。しかし現代は、食料の心配もなく、エアコンの効いた快適な部屋で過ごすことができます。特に、都会で働いているビジネスパーソンは、自然と触れ合う機会も減っているため、外の環境の変化に気が付く力が衰えてきていると言えるのではないでしょうか。

とはいえ、中には気圧の変化を敏感に感じ取る人が、まだまだたくさんいます。これは、昔からの能力が残っているというよりも、体が持つさまざまな調節機能がうまく働かず、気圧の変化に対して過剰な反応をして痛みやめまいを生じさせていると考えられます。

「天気痛」は適切な予防と対処法で軽減される

私が持っているアンケートデータや、天気痛・気象病外来に来る患者さんなどを診ている実感としては、軽度なものや、潜在的なものを含めれば、「頭痛」「めまい」「憂うつ感や不安感」など、実に国民の4人に1人は天気痛の可能性があるのではないかと感じています。

『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そしてこの天気痛は、適切な予防と対処法によって、ずいぶん軽減されることもわかってきました。

天気痛は、決して珍しい症状ではありません。今まで、つらい思いをしてきたビジネスパーソンも、ぜひ次回の記事で紹介する方法を実践してみてください。

佐藤 純 天気痛ドクター・医学博士

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さとう じゅん / Jun Sato

1958年福岡県生まれ。疼痛生理学・環境生理学を学んだのち、名古屋大学教授を経て、愛知医科大学病院で日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設。東京竹橋クリニックでも気象病・天気痛外来医として診療を手掛ける。天気痛研究・診療の第一人者として「ためしてガッテン」「あさイチ」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディア出演も多数。2020年には株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」をリリースし、注目を集めている。
主な著書に『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法』(光文社新書)、『まんがでわかる天気痛の治し方』(イースト・プレス)などがある。

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