雨の日は「頭痛がする」「ダルくなる」納得の理由 人間だけでなく犬や猫も「気圧の変化」に弱い

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では、具体的に天気痛の原因は、何でしょうか?

それは、一言で表すとしたら「気圧」の変化です。天気の中でも、温度や湿度に関しては、体の皮膚や粘膜などからその変化を感じるため、「暑い」とか、「湿っぽい」というふうに、瞬時にわかります。

しかし、気圧というのは、なかなか感じる機会の少ないものなので、気象条件のうちの大きな要素であるにもかかわらず、私が研究を始める以前は、気圧が体に影響するのかについて基礎研究を行った人はおらず、その認識はとても曖昧なものでした。

しかし、25年ほど前、あるテレビ番組で「天気と痛みの関係」を調べる実験に協力したことをきっかけに、科学的に気圧と痛みのメカニズムを解明するための本格的な研究に乗り出しました。

そして長年の基礎実験や臨床研究により、基本的に天気の崩れるときや、天気の崩れが回復するとき、つまり「気圧による変化」で症状が出やすくなるということを突き止めました。

これまで、「頭が痛くなる」「憂うつになる」「耳鳴りがする」「めまいがする」など、ざまざまな痛みの症状や不調で悩みながらも、病院で検査をしても原因がわからず、職場でも「気のせいだろう」「サボりじゃないか」と周囲の理解を得られなかった方もたくさんいると思います。しかし、その痛みや不調は、もしかしたら「天気痛」なのかもしれません。

人間は、誰でも気圧の影響を体で感じ取っています。健康と思われる人の場合でも、気圧を下げた部屋や、気圧を少し高くした部屋に入ると、心拍数や気分が変化するということが、私の実験結果からわかっています。

「気圧の変化」を感じるのは人間だけじゃない

そしてこの感覚は人間だけに限ったことではありません。むしろ、気圧の変化を感じる力は、もともと動物に備わっている能力で、生物が生存するために重要なひとつの感覚であると思っています。

例えば、鳥類は気圧を感じる能力があることがわかっています。

鳥類は、耳の中の中耳と呼ばれる鼓膜のすぐ後ろ側にある空間に、気圧を感じる器官があります。そのため鳥は、自分が飛び上がるときの気圧の変化で、どれくらいの高度を飛んでいるかということを知ることができます。渡り鳥は、24時間ずっと海の上を飛んだり、高い山を越えたりするわけですから、自分がどれくらいの高度にいるかを知ることは、とても重要です。

また、カモやツバメ、ハクチョウといった渡り鳥が、南や北へ飛び出すタイミングを決めるときも、気圧が重要になってきます。もちろん温度や湿度も関係あるでしょうが、気圧を感じて、嵐や台風を事前に察知すれば、飛び立つのをやめているはずです。

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