「変化にうまく順応できる人」が経ているプロセス 組織の変化にはリーダー自身が変わる必要ある
昨今、戦後構築された組織・社会のシステムの課題がコロナ禍をきっかけに顕在化し、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、あるいは「CX(コーポレートトランスフォーメーション)」の必要性の議論が盛んに行われている。
変化が激しい現代において「かつてはうまく機能していたやりかたがもう通用しなくなってきている」と薄々気付いているものの、自己否定となることへの恐れや、新しいやり方・価値観が見えないことへの不安などが邪魔をして、具体的な行動へ踏み出せないーー。こうした悩みを抱える管理職や経営者は多いのではないだろうか。
「毎日出社し、同じ場所で過ごす時間こそがチームワークを産むためには不可欠だ」といった価値観は、組織1人ひとりの個人の中に根付いてしまっている。こうした中、DXやCXを成功させるには、それを推進する立場にあるリーダー自らが、自身の内面を意図的に変化させること、すなわち「Self Transformation(SX)」が不可欠である。これには一定の型があり、その型を理解し、繰り返し練習することで誰でも身につけることができる。
まずは自分をマネジメントせよ
私はピーター・ドラッカーが創設した経営大学院(MBA)ドラッカー・スクールにて、ビジネスリーダー向けにセルフマネジメントを20年間、約1000人に教えてきた。そして、実際に目の前で学生たちの変化を遂げる姿を目撃してきた。
「自分をマネジメントできなければ他者をマネジメントすることはできない」とは、ドラッカーの有名な言葉だ。私はこの考えに基づき、部下や組織をどう変えるかという組織のマネジメントではなく、自分自身をどう変えるかというセルフマネジメントの手法を研究・開発し、指導を行ってきた。本稿では、その中で明らかになってきた、自身の内面を変化させるプロセスの型と、その訓練方法を紹介したい。
まず、変化のプロセスは、「チェンジ(change)」と「トランジション(transition)」の2つに分けることができる。チェンジは外的な環境変化、トランジションは内面の変化だ。チェンジはある時点に起きるが、トランジションは時間をかけて時には逆戻りもしながら進む。トランジションは、チェンジによって自分自身の外で起きた環境の変化を吸収して慣れるためにアイデンティティや可能性、自分が信じていることを自分の内面で動かす(シフトさせる)ことに近い。
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