(第16回)外需依存への移行 貯蓄投資バランス分析

(第16回)外需依存への移行 貯蓄投資バランス分析

日本経済がなぜ外需依存の構造になったのかを、国民経済計算の貯蓄投資バランス式を用いて考えてみよう。この式は、これまで日本経済で起きたことを理解するためにも、また今後の日本経済の方向づけを考えるためにも、たいへん有用な手がかりを与えてくれる。

まず、一定期間(たとえば1年間)における財・サービスの生産と支出との間に、次のようなバランス式が事後的には必ず成り立つことに注意しよう。

所得+固定資本減耗+輸入=消費+投資+輸出 (1)

この式が成立する理由は、次のとおりだ。まず、国内で生産された財の一部は固定資本減耗(減価償却)に充てられ、残りが自由に処分できる所得となる。そして、事後的には、生産されたものが必ず支出される(売れ残りは「在庫増」になる。ただし、ここではそれを省略している)。したがって、国内生産と輸入の合計が、国内の支出(消費+投資)と輸出の合計に必ず等しくなるわけだ。

ところで、貯蓄=所得−消費、純輸出=輸出−輸入、純投資=投資−固定資本減耗 なので、(1)式は

貯蓄=純投資+経常黒字 (2)
と書き換えられる(経常黒字=純輸出+海外からの純所得だが、この式の右辺の第3項は無視することとする。あるいは、左辺における貯蓄を定義する所得を海外からの純所得も含むGNPベースの貯蓄であると考える)。

(2)式は、毎年の実物のフローに関するものだが、次のように解釈することができる。まず、金融取引面から見れば、

国富の増=国内資産の増+対外純資産の増 (3)
となる。この式をストックで見れば、

国富=国内資産+対外純資産 (4)
となる。つまり、国民が持っている資産は、国内に蓄積したものか、あるいは海外に保有しているものだ。

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