「2代目古畑任三郎」が到底実現しない根本的理由 なぜ田村正和さんの古畑は今なお支持されるのか

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その犯人役も、第1シリーズでは、中森明菜さん、堺正章さん、桃井かおりさん、菅原文太さんら。第2シリーズでは、明石家さんまさん、沢口靖子さん、唐沢寿明さん、鈴木保奈美さんら。第3シリーズでは、真田広之さん、大地真央さん、福山雅治さん、江口洋介さんら。スペシャルでは、山口智子さん、SMAP、緒形拳さん、松本幸四郎さんら。ファイナルでは、イチローさん、松嶋菜々子さんらが出演。いずれも大物ですが、本人たちにしてみれば、田村さんとの2人芝居と脚本の面白さから、出演することがステイタスでした。

どちらも超一流。2人の名前を聞いただけでワクワクする。そんな夢の対決を実現させていたからこそ、「古畑任三郎」は特別な作品となっていました。俳優に限らず芸能人の数が増え、身近な存在になった今、当時のような夢の対決ができるかと言えば、難しいところがあるでしょう。

また、SMAPやイチローのように実名で登場する犯人役もあり、これも難易度の高い設定。「リアルな人間を相手に、架空のキャラクターで対峙しなければいけない」という田村さんも、「罪を犯してしまう自分を演じなければいけない」という犯人役も、ともに難しさは計り知れません。現在、第一線で活躍している主演級の俳優たちでも演じられるかわからないほど難易度の高い作品なのです。

田村さん演じる「古畑任三郎」が偉大な名作だからこそ

いまだに「田村正和さんが亡くなった」と聞いても実感がない人が多いのではないでしょうか。テレビでは「古畑任三郎」が再放送しているし、動画配信サービスならいつでも見られます。それどころか目を閉じれば「古畑任三郎」を演じる田村正和さんの姿が思い浮かぶのではないでしょうか。

万が一、三谷幸喜さんが「やっぱりやりたい」と言ったとしても、人々の心に田村正和さんが居る限り、「2代目・古畑任三郎」は違和感や拒絶反応しか生まれないでしょう。それは田村さんの演じる「古畑任三郎」が偉大な名作だからにほかなりません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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