「輝かしい失敗」からイノベーションが生まれる訳 「オランダ発」リスクや失敗をプラスにする方法

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、事後の学習にも役立ち、何を行い、その結果、何が起きたかを型を使って整理し、共有することで、組織、チーム、システム、個人という各レベルで失敗を捉えやすくなります。

輝かしい失敗の16の型
(出所)『失敗の殿堂』p.192

失敗からの知識や経験をたたえ合おう

失敗の経験を共有するために、私たちはいくつかの部門に分けて「輝かしい失敗賞」という表彰制度も設けています。その結果、みんなが受賞をめざして応募してくる(情報を共有する)ようになりました。というのも、受賞すれば、自分たちが価値あることに挑戦して、最善を尽くし、そこからたくさんの知識と価値を生み出した証になるからです。

たとえば、複雑なヘルスケアのシステムの中でも、失敗の経験や学びを用いて、さらによりよくしていくことができます。コロナ禍がそのいい例であり、オランダでも非常に混沌とした複雑な状況の中で、実際に何が起こっているかというところから学びを積み重ねています。こうした危機の経験や知識をそのまま何も共有しなければ、無駄になってしまいます。

日本の皆さんも、ぜひ失敗を褒めたたえるようになればと願っています。そうすれば、誰もが自分たちがどんな試みをしたかを積極的に共有するようになり、それがよりよい世の中につながっていくからです。

輝かしい失敗は単なる選択肢ではありません。非常に複雑で動的な世界の中で必要なものなのです。

(構成:渡部典子)

ポール・ルイ・イスケ マーストリヒト大学ビジネス・経済学部教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Paul Louis Iske

1961年オランダ・アムステルダム生まれ。アムステルダム大学で理論物理学と数学の修士号、トゥエンテ大学で理論物理学の博士号を取得。現在、マーストリヒト大学ビジネス・経済学部教授。専門はオープンイノベーションとビジネスベンチャリング。同学内の「輝かしい失敗研究所」のCFO(最高失敗責任者)であり、変化する複雑な世界における実験と学習の重要性についての認識を高めることを目的として活動している。理論物理学者としての背景から、ロイヤル・ダッチ・シェルでは上級研究物理学者、ABNアムロ銀行では「ダイアログ・ハウス」でのイノベーション担当上級副社長を務めた経験を持つ。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事