採用か除外か、「JPX日経400」の狭き門 存在感を高める株価指数が企業の意識改革を迫る

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そうした見通しに立ち、いち早く、同指数への意識を鮮明にした企業も現れている。金属加工機械メーカーのアマダがそうだ。同社は14年3月期の決算説明会で、同指数が及ぼしかねない株価へのインパクトに言及し、配当性向の引き上げとともに、当期利益の50%を自己株式取得に充てるという、ROE向上の新方針を打ち出した。

実は今年に入ってから、企業による自己株式取得の動きは活発化している。野村証券によると、自己株式の取得(枠設定ベース)は14年上半期だけで合計額2兆8000億円と、13年通期の1兆9750億円を大きく上回っていることが何よりの証左だ。

毎年訪れる宣告の夏

「デフレマインドが解消する中で、内部留保が豊富な企業の姿勢が変わってきた。ROEを重視する新指数は、そんな企業の背中を押している」。野村証券の田村氏は、自己株式取得の動きが拡大する背景にも、新指数の存在があると見ている。

しかもこの先、新指数以外にも、企業の背中を押すことになる資本市場の歯車は編み出されている。たとえば、「責任ある機関投資家の諸原則」を定めた日本版スチュワードシップ・コードの導入がその一つだ。「投資と企業との対話を通じて企業の持続的な成長を促す」ことを目的とする同コードの受け入れを、6月10日までに表明した機関投資家は、信託銀行、投信・投資顧問会社、生損保など127社に達した。

これらの機関投資家には今後、ROE改善などに向けて、投資先企業に積極的な働きかけをすることが期待されている。企業と機関投資家の間で、ROE重視の新指数に基づいた議論が繰り広げられることもあるだろう。

JPX400がプレゼンスを高めるかぎり、上場企業には毎年、指数の「採用」と「除外」が公表される、“熱い”8月が訪れることになる。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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