東京藝大の名物教授が学生に問う独特課題の意味 「チャーミングに異を唱えよ」の題にどう答える?
国谷:そのように覚醒された人たちが世の中に出て行くと、自分の身のまわり、自分の置かれた状況を見て、われわれの社会はもっと変わっていかないといけないと、能動的にデザイン力を生かした活動をどんどんやってくれそうな気がします。「『アート』が行き詰まった社会の変革に必要な訳」(6月6日配信)でおっしゃった、壁の色を黄色にするのか赤にするのかの選択ではなく、青にしてしまうとか、壁をそもそもなくすという提案をするなど、オルタナティブを常に考えるっていうことが、実行力につながる。
箭内:そうですね。実行力、実現力ですね。国谷さんがおっしゃっていたように、何パーセントの人がどう動くかで世界を変えられるなら、自分が大学で出会ったいろんな学生たちが、その何パーセントの中でね、力を発揮する一員になってほしいという勝手な願いは持っちゃっていますね。今日、国谷さんと話している中での発見でしたけど、自分でもちょっと驚きでした。
企業と藝大との連携
国谷:企業にはもっと藝大と連携すると面白いことができると思ってほしいし、自分たちが触発される場所だと思ってもらえるようになったらいいなと思います。もちろん、企業色に染まるという意味ではなく。藝大を支えてくれるような関係を持てるように企業とつながっていけたらいいですね。
箭内:あれもできます、これもできますみたいな、なんか藝大にあるものを企業に捧げますモードになっちゃうと、最初の入り口が良くないと思うんです。そうしたら、もっとこれしてください、あれしてくださいって、こうしてもらわないと利益になりませんとかってなっちゃう。利益にならないかもしれないけど、この人と付き合いたい、そう思わせたいですよね。
国谷:そうそう、それですね!
箭内:そのためには、そもそも大事なのは我々がもっとキラキラ輝いて、企業から告白を受けるような存在にならないといけないし、基本はそこしかないと思うんですよね。企業のほうが直観で、藝大と何かやりたいと思ってくれるような存在にならないと。本当は、国谷さんは間をつなぐ存在だから何かいいセールスシートがあるとか、武器をお渡しできるといいんだけど、そういうメニューを作るのはすごく危険な感じがして。藝大は、メニューではなく、「オレンジじゃなくて青がいいよ」って言えるアートの視点をお渡しすることはできますよね。
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