アートが社会の「分断」の壁を壊す為に必要な視点 「ねばならない」足かせを外し、人を動かす

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分断する社会においてアートができることは?(写真:cba/PIXTA )
現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、多くの若手芸術家たちは孤立し、苦境に立たされている。また、人と人との物理的接触が避けられるなか、社会の現状に対する人々の意識の間には「分断」が広まっている。
クリエイティブディレクター・箭内道彦さん(東京藝術大学美術学部デザイン科教授)は、感染症、気候危機等さまざまな問題に直面するなかでの分断と多様性について、「多様でなければならない」ではなく「多様だったとしたらどんなに素敵なことなんだろう」という「入り口」が必要と述べる。この過渡期を乗り切るために求められる意識、手法とは何か。
「『アート』が行き詰まった社会の変革に必要な訳」(6月6日配信)に続いて、23年にわたりNHK「クローズアップ現代」のキャスターを務めた国谷裕子さんが、“最後の秘境(?)” 東京藝術大学の12人の教授たちへインタビューし、「芸術=アート」から現代の日本社会を覗き込んだ『クローズアップ藝大』から対談内容を一部抜粋、再構成しお届けする。

若手芸術家支援基金の意味

国谷 裕子(以下、国谷):新型コロナウイルス感染拡大の影響で、若手の芸術家たちが厳しい状況に陥っていますけれども、箭内さんの藝大の教え子や卒業生からも「大変だ」とか「辛い」といった声が届いているのではありませんか?

箭内 道彦(以下、箭内):はい。本当に困っている卒業生たちは、一刻を争う、一日も早い支援を求めているという状況です。澤学長の強い思いもあって、「新型コロナウイルス感染症緊急対策 東京藝術大学若手芸術家支援基金」が立ち上がって、クラウドファンディングは7月31日(2020年)までです(※註)。いろんな意見があると思うんですけど、学長が、「走りながら考えるタイプです」っておっしゃっていましたけど、しっかり検証も、走りながらしていきたいと思っています。

(※註)若手芸術家支援基金クラウドファンディングは2020年7月31日に終了、同基金キャンペーンは2022年3月31日まで実施 http://www.fund.geidai.ac.jp/

もっとたくさんの人にこの基金のことを知ってほしいし、拡散してほしいし、支援もしてほしい。芸術家って自分のこと以外に興味がないのかなって思う場面にも遭遇して、ちょっと寂しいとも思っちゃうんですけど、やっぱり自分たちの教え子であったり仲間であったり、未来の芸術を紡いでいく、つないでいく存在がここで途絶えてしまったらと考えたら、皆さんも放っておけないだろうなとは思っています。

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