日本人に知ってほしい芸術家が育つ土壌の価値 作品の芸術性と価格にどんな相関関係があるか

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現代アートを知り尽くした男が語り尽くした(写真:cba/PIXTA)
『週刊東洋経済』は2月15日発売号で「アートとお金」を特集。新型コロナによる緩和マネーの流入で活況を呈する現代アート市場に加え、アート投資の方法、コロナで苦境に立たされる美術館の経営などに迫っている。
アメリカの現代アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアの絵画が115億円、イギリスのバンクシーが13億円、日本の奈良美智が27億円――。美術品の2次流通市場であるオークションでは、時に想像を絶する高額で現代アート作品が落札されていく。世界中から富裕層が参集する海外のアートフェアでも、出展するギャラリーは扱う作家の作品に値段をつけて売っている。
では、こうした「アートの値段」は、誰がつけて、どのように推移していくものなのだろうか。作品の芸術性とその価格はどのような相関関係を持つのか。
会田誠や山口晃などを扱う現代アートのギャラリーを主宰し、『アートにとって価値とは何か』(幻冬舎)の著者でもある、ミヅマアートギャラリーの三潴末雄氏に聞いた。

現代アートの値段はどう決められているのか

――現代アートのギャラリーを運営されています。取り扱っている作家の作品は、基本的に値段がつけられ、購入することが可能です。値段はどのように決められているのですか。

アートの市場には、作品を最初に買う1次流通(プライマリー)市場と、人の手に一度わたった作品が再び売買される2次流通(セカンダリー)市場があります。私たちのようなギャラリーが属するのは、プライマリーマーケット。ここでは、まだ海のものとも山のものともつかぬ作家の才能を信じて、育成します。制作のサポートをし、個展を開いて作品をプロモーションしたり、美術館のキュレーターに紹介したりすることもあります。

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そして、作品の値段は私たちギャラリストがつけるわけです。かつて、ある有名なイタリアの大学の教授が僕にこういったことがある。「芸術とはコインの裏と表だ。表側は芸術だけれど、裏はマネーだ。それぞれまったく違う、矛盾したところを関係づけていくのがギャラリーの仕事である」とね。

作家のキャリアが少なければ、最初はビギナー価格をつけて、そこから徐々に、ステップアップしていく。私たちが最も重視しているのは、芸術性です。高い人気の作家であれば、急に値段が倍くらいになることもありますが、それでもオークションのような急激な値上がりはありません。

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