渋谷駅新ビル、畑違いの男が生んだ「目玉施設」 11月開業、ベンチャーの梁山泊を目指す
東京・渋谷の新たなランドマークとなる「渋谷スクランブルスクエア」が11月1日に開業する。観光の目玉となるのは屋上の展望施設「渋谷スカイ」。スクランブル交差点で通行者が行き交う様子を地上230mの高さから見下ろすことができる。
ビルの事業主体・渋谷スクランブルスクエア株式会社に出資する東急、JR東日本、東京メトロの3社は観光以外にも目玉を作った。15階に設けられる産業交流施設「渋谷QWS(キューズ)」だ。フロア全体を占める空間にコワーキングスペース、イベントホール、サロンなどで構成される会員制の交流施設で、多様な人たちが交流し、社会価値につながる種を生み出すという。
この文章だけでは具体的なイメージが湧かないという人もいるだろう。同施設の開発を担当した渋谷スクランブルスクエア営業一部の野村幸雄ディレクターも、開発当初はまったくイメージが湧かずに頭を抱えた1人だ。
財務一筋、いきなり抜擢
2001年の東急入社以来、財務一筋だった野村さんに渋谷スクランブルスクエアへの出向辞令が下ったのは2014年7月のことだった。その野村さんが新任地で与えられた指令は、「これまでになかった施設を創れ」――。
2013年、渋谷スクランブルスクエアの開発を前に東急などの事業主体は東京都に対して都市再生特区の都市計画提案時に、大学との連携を促しクリエイティブ産業を育成する施設を造るというコンセプトを打ち出していた。だが、具体的にどんな施設を造ってそこで何をするのかはまったくの白紙。それを考え、形にするのが野村さんの使命だった。
「なぜ私が?」。野村さんの経歴と新たな仕事はマッチしていないように見えた。新しい部署に来た当初は、同僚たちが交わしている会話の内容がまったくわからない。「イチから出直しだ」。覚悟を決めて、勉強を始めた。
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