将軍就任を断固拒否した「徳川慶喜」の驚愕の本音

こっそり呼んだ側近に「徳川家はもう持たない」

徳川慶喜の素顔に迫る短期連載の第6回をお届けします(写真:近現代PL/アフロ)
「名君」か「暗君」か、評価が大きく分かれるのが、江戸幕府第15代将軍の徳川慶喜である。慶喜の行動は真意を推しはかることが難しく、性格も一筋縄ではいかない。それが、評価を難しくする要因の1つであり、人間「徳川慶喜」の魅力といってもよいだろう。その素顔に迫る短期連載の第6回は、家茂の病死によって本格化する将軍への就任要請に対する、慶喜の強情ぶりをお送りしたい。
<第5回までのあらすじ>
江戸幕府第15代将軍の徳川慶喜は、徳川家と朝廷の両方の血筋を受け、その聡明さから、みなの期待を一身に背負って育った。何とか貧乏くじを引かずにすむように立ち回る慶喜だが(第1回)、若き将軍、家茂の後見職の座に就くことになり、政権の中枢に据えられていく(第2回)。
優れた開国論を心に秘めていた慶喜。攘夷など非現実的だと思いながらも、幕府と朝廷の板挟みに苦しむ(第3回)。いったんは幕府を離れて、参与会議の一員となるが、薩摩の政治的野心にうんざりし、暴言を吐いて会議を解体。朝廷を守る禁裏守衛総督に就任し、長州の撃退に成功する(第4回)。
だが幕府による第一次長州征伐では、慶喜は蚊帳の外に置かれたうえに、お膝元である水戸で天狗党が挙兵し、その対応に追われる始末だった(第5回)。第一次長州征伐に勝利した幕府は、第二次長州征伐で長州藩にとどめを刺そうとするが、薩摩藩が不穏な動きをしていた。

第二次長州征伐では幕府が敗北

慶応2(1866)年6月7日、幕府艦隊が長州領内に砲撃を行い、第二次長州征伐が始まる。だが、第一次長州征伐のようにうまくはいかなかった。戦闘は芸州口、石州口、周防大島口、小倉口の4カ所で繰り広げられたが、幕府はいずれも敗北を喫している。

それも無理はない。薩摩藩は幕府の出兵に協力しなかったばかりか、征伐の直前、長州と密約を結び、武器の提供などの後方支援を行った。坂本龍馬が仲介したことで知られる「薩長同盟」である。薩摩藩以外の九州諸藩にしても、長州の征伐に積極的ではなく、ろくに攻め込まなかった。

そもそも、長州藩が幕府に対抗すべくしっかり体制を固めたのと対照的に、幕府軍は戦術らしい戦術もなく、戦闘意欲に乏しかった。これではいくら兵の数で上回ろうが、勝てるわけがない。

そして敗戦を決定づけたのが、将軍、家茂の病死である。脚気衝心(かっけしょうしん)を患った家茂は大阪城で病に伏せ、回復することなく、この世を去ることとなった。

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