開始5年もいまだ課題「マイナンバー」迷走の真因 新型コロナの給付金申請でトラブルが続出

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マイナンバーを普及させるための課題を解説します(写真:artswai/PIXTA)
デジタル化の進展もあり、さまざまなところでデータが活用されるようになっています。それに伴って大きな課題になっているのが、プライバシーの保護です。今回はいまだに普及が進まないマイナンバーの問題点について、新著『プライバシーという権利』を上梓した宮下紘氏が解説します。
前回:個人情報に鈍感な人に伝えたいGAFA規制の意味
前々回:無知ではすまない「日本のAI活用」に欠けた視点

大胆な政策をとらない限り、普及速度は速まらない

行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現という目的を掲げたマイナンバー制度が、2015年の通知カードの配付とともに実質的に運用されてきました。住民票を有する個人に12桁の個人番号(マイナンバー)が通知され、マイナンバーは法定受託事務のほか、自治体の独自利用事務において使われます。

希望者は、個人番号カード(マイナンバーカード)を申請し、交付されたカードを身分証明書または各種行政手続きに利用することができます。さらに自宅からは、マイナポータルを利用して各種行政手続きができるサービスも開始されています。そのためマイナンバー制度では、個人情報を一元化せずに、各機関が保有する個人情報を、必要な行政手続きについてその都度利用するという分散管理の方式を採用しています。

マイナンバーは行政手続きにおけるカギの1つであり、金庫そのものではありません。マイナンバー制度は行政のデジタル化を推進するための突破口となることが期待されてきました。しかし、新型コロナウイルスの経済対策として、国民への特別定額給付金の個人番号カードによる申請において、システムの未整備や相互運用性の不備で大混乱が起こりました。

行政のデジタル化は2000年に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」が整備され、徐々に進展してきましたが、依然として書面や押印の利用が問題とされてきました。行政手続きのデジタル化を進めたいのであれば、紙の住民票や確定申告の原則廃止など大胆な政策をとらない限り、そのスピードは速まらないと考えられます。

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