公立中に大失望「中学受験親子」が今選ぶ最善の道 私立志向加速、コロナ禍でどんな変化が起きたか

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コロナ禍で激変したのは受験校選びだ。塾や学校が授業を中止したため、「成績が思うように伸びない受験生が増えた」(森上氏)。そのため、自分の学力を大きく超えたチャレンジ校の受験は減り、平均出願校数は減った。2021年の平均出願数は1人あたり6.55校と19年、20年の6.67校から減少した。

受験者の安全志向を反映して躍進したのが中堅校だ。東京都では偏差値40台以下(日能研)の学校で受験者が増えた。一方で同50台以上の上位校は大幅に減った。

付属校でも同様の傾向が見られる。偏差値65前後の早稲田・慶応系、同60前後のGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)系の付属校は志願者を減らした。一方で日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)系の付属は受験者が増えた。難関中学受験塾・サピックス小学部の広野雅明教育情報センター本部長は「受験校選びの安全志向を反映している」と指摘する。

偏差値40台以下の学校の受験者が増えた

中堅校の志願者が増えた理由は、安全志向だけではなさそうだ。ある大手塾関係者は「公立中学のコロナ対応に失望し、6年生の夏ぐらいから受験対策を始めた層がいた」と話す。3年プロジェクトとされる中学受験に、入試の半年前に参入して間に合う可能性は低い。合格できるのは中堅校以下に限られる。そのため、偏差値40台以下の学校の受験者が増えたという。

また学校説明会の中止も受験校選びに影響した。学校の体育館などで開く説明会は軒並みなくなった。オンラインでの開催が増えたが、実際に学校を見学するのに比べ情報量は少ない。「情報が限られる中で、多くの親が知っている伝統校などは校風のイメージが湧きやすく、人気を集めた」(サピックスの広野氏)。例えば跡見学園(東京都文京区)や実践女子学園(東京都渋谷区)、山脇学園(東京都港区)などは人気が復活した。

さらに、国際教育の開智日本橋学園(東京都中央区)や、実質的な新設校として学校改革に挑む広尾学園小石川(東京都文京区)や光英VERITAS(千葉県松戸市)なども、「教育内容が注目を集め、志願者確保につながった」(東京個別指導学院の寺田氏)という。

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林 哲矢 東洋経済 記者

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はやし てつや / Tetsuya Hayashi

日本経済新聞の記者を経て、ハーバード大学(ケネディスクール)で修士号。『週刊東洋経済』副編集長の後、『米国会社四季報』編集長。

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