各地で大異変「100円ショップ」の看板が消える日 100均各社の店頭や新展開から見えてくる

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対照的に、厳しいニュースが相次ぐのが300円ショップ。もともとファッション性の高いプチプラ雑貨やアクセサリー等の、どちらからといえば「不要不急」アイテムが多かったせいもあってか、代表的な2ブランドが他社に事業を譲渡することとなった。

昨年の5月、株式会社ビルジャンが300円ショップ「CouCou」事業をダイソーに譲渡した。ダイソー自体も「THREEPPY」という300円ショップを展開しているが、ブランド統合することなく、現在も「CouCou」としての営業が続いている。

さらに、今年2月に「ミカヅキモモコ」の運営会社が経営破綻。一部店舗はアパレル企業に譲渡されたが、筆者が愛用していた店舗は残念ながら閉店のままだ。

やはりコロナの影響は大きかったのだ。300円ショップが得意とするプチプラ雑貨は、目的をもって訪れる指名買いというより、ついで買いや衝動買いを誘うもの。たまたま店を覗いて、かわいいものを見つけて数個をまとめて買う、という消費スタイルだ。

しかし、コロナの外出自粛により「ぶらぶら買い物に行く」という行動自体がかなり減ってしまった。重ねてインバウンド需要も蒸発、打つ手が封じられてしまった。

この2社のニュースから見えてくるものは、均一ショップの生き残り合戦の厳しさだ。先に書いたように、100円ショップはもはや100円均一ではなく、多価格帯への方向を強めている。300円ショップにとって、出店数では勝負にならない100円ショップとの戦いは消耗戦となるだろう。

最も認知されている「3コインズ」でも全国で約200店舗と、1000店舗を超える100円ショップとは店舗数の桁が違う。300円ショップは、デザイン性・ファッション性の高さを武器に差別化してきたが、100円ショップも生き残りをかけてデザイン性を重視したPB商品の開発に注力しており、その境界線はどんどん融けつつある。100円も300円も垣根のない時代に突入している。

「100円ショップ」の看板がなくなる日

つまるところ、もはや「100円ショップ」とは名ばかりなのだ。

スーパーやホームセンターにも負けないほど幅広い商品をそろえ、かつ機能・デザイン性にもこだわり、価格は100~1000円のラインナップという業態は、なんと呼ぶべきか。「プチプラ雑貨ショップ」「ロープライス用品ショップ」……どれもピンとこない。単に、「ダイソー」「キャンドウ」といった店名だけがアイコンとなる日も近い。

となると、気になるのは業界第2位である「セリア」の戦い方だ。100円ショップ各社が多価格商品へシフトする中、いまだ100円にこだわる姿勢を崩していない。

セリアといえば、インスタ映えするおしゃれ雑貨やインテリアグッズなど、そのデザイン性の高さを支持するファンが多い。ダイソーの“無印っぽい” 「Standard Products」は、方向性こそ違うが、そうした層の関心も引くことだろう。ますます、この勝負から目が離せない。

「100円ショップ」という看板は、そのうち消えるかもしれない。何でもそろうバラエティー雑貨ショップになるのか、生活必需品の総合デパートになるのかはわからないが、せめて奮闘するセリアの行方をしっかり見守りたい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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