コロナで露呈「正しく数字を扱えない」日本の弱点 「プロセス」軽視で「結果」ばかり重視の危うさ

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コロナ禍がきっかけに浮き彫りになった日本の問題とは(写真:時事)

日本のコロナワクチンの接種率(1回以上)が国際的に見て相当低いという実情(OECD加盟37カ国中最下位)をニュースで知り、沈んだ気持ちになった国民は少なくなかっただろう。

それに関しては、先の大戦での敗戦に例えるコメントも数多く見受けられた。本稿では、コロナ禍で日本の数的論理の弱点がいろいろ露呈していることを訴え、それを克服するヒントを多様な具体的事例から紹介しよう。

朝の運行本数「約2割減便」の失敗

4月下旬に東京都の感染者が1000人を超えたとき、(東京都の人口1000万人から見ると)「1万人に1人ではないか」という楽観的な記事がネット上で見られた。確かに1日に感染する確率は、1万分の1である。

しかし、これが100日当たりの感染人数期待値と考えると100分の1人になる。これは少し混んだ山手線1車両に1人がいる状態で、楽観的に捉えられるだろうか。

要するに指摘したいことは、どんなに0に近い正の数でも、掛ける数が大きくなると、その結果はいくらでも大きくなるという認識をしっかりもつことである。これは「アルキメデスの原理」とも言われるが、これに関してもう1つの例を挙げよう。

ウイルスの性質の大きな変化は滅多に起こらないそうだが、すなわち変異株の出現確率は非常に小さいが、感染者数の人数が膨大になると、それが出現する期待値は1を超え、出現しても不思議でない状態になるのである。

次に、等号の変形に関する話題を紹介したい。いま、

C =A÷B

とする。このとき、Bを2割削減してCの値が変わらないようにするには、Aも2割削減すればよい。すなわち、

C =(A×0.8)÷(B×0.8)

となることである。

この簡単な数式の変形に配慮しなかったと思われる一件が4月30日と5月6日に起こった。緊急事態宣言に伴う国や東京都からの要請によって、JR東日本は首都圏7路線を対象に、朝の運行本数を約2割減便したのである。

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