この貴重な経験を通して言えるのは、自分自身が英語しか使ってはならない環境に追い込まれれば、時間の経過とともに誰でもある程度の英語が話せるようになるということです。
ましてや仕事上の英語ですから、ごく限られた範囲だけを使えればいいわけです。英語漬けの毎日を3カ月も過ごせば、大抵のことはわかってくるものです。
英語が流暢でも、あっという間にクビになった「同僚」
前回のコラムでは、「英語だけができても、グローバルな人材にはなれない」という趣旨の内容を書きましたが、実はそう考える契機ともなった根拠として、私のこの金融機関でのもうひとつの原体験があります。
それは、「たとえ英語ができても、能力がない人間はすぐに首を切られる」という厳しい現実を目の当たりにしたことです。
当時のことを思い起こすと、私が英語のシャワーを浴び続けてから6カ月くらい経った頃、若いアメリカ人が海外の親会社から見習いとしてやってきました。彼は私と同じくらいの年齢であり、言うまでもなく英語はどの日本人よりも流暢に話すうえに、日本人ではとてもできない発音をしていました。
にもかかわらず、彼の仕事上の会話を聞いていて、私には、彼は「仕事ができない人間である」ことが、1カ月もしないうちにわかってしまいました。仕事での英語経験が浅い私にもわかったのですから、他のメンバーがすぐにそのことに気付いたのは間違いありません。
その結果、彼は日本でも使い物にならないと判断されて、3カ月で親会社に戻されてしまいました。それから、それほど時を経ずに、彼が解雇されたことを聞かされました。
後でわかったのは、彼は「見習いとしてやってきた」と言えば聞こえはいいのですが、実際には「最後のチャンスを与える」と言われて、日本にやってきたということです。
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