英語だけでは、仕事は絶対うまくいかない 大切なのは、「語学力」よりも「思考力」

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俯瞰的な視点・物事の考え方・大局的な判断が必要

結局のところ、英語力よりも大切なのは、「俯瞰的な視点を持っていること」、「物事の考え方がしっかりしていること」、「大局的な判断ができること」なのです。私の経験談はグローバル経済という言葉が一般的になる前の話ですが、グローバル経済が叫ばれる昨今では、これらの能力の必要性は、より高まってきているのが確実なのです。

日本企業の経営で外国人が活躍するケースは、今ではあまり珍しくなくなりました。日産自動車のカルロス・ゴーンCEOもその一人です。

彼はその手腕によって、かつて破綻寸前にあった日産自動車を見事によみがえらせることに成功しました。その彼が日本語を流暢に話せるかというと、ほとんど話すことができません。英語が話せない日本人と話す時は、必ず通訳秘書を介して話をしています。

それでも彼が「コミュニケーションの達人」と呼ばれるのは、世界全体を俯瞰する視点、あるいは世界の大局を判断する視点を持っていて、そのことを従業員はじめ、多くの人々に重みのあるメッセージとして伝えることができるからです。

要するに、彼が話す内容には、卓越した思考力や洞察力を裏付けとした中身がいっぱい詰まっているのです。ゴーン氏の例を見ても、語学よりも話す内容自体が大事なことは、よくわかるでしょう。

新刊『2025年の世界予測~歴史から読み解く日本人の未来』(ダイヤモンド社)には、記事の続編「2025年に生き残れる人材の条件」が収録されています。興味があれば、ぜひご覧いただきたいと思います。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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