ROC(炭素利益率)ランキング/排出量取引開始でさらに強くなる会社はここだ!--1位アステラス、2位武田薬品…
2009年9月、鳩山由紀夫首相は20年までに二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減するという目標を表明した。現時点では不透明な点も多いが、仮にこの目標どおりに進むと企業は今後、排出量取引制度の導入などで温室効果ガスの大幅削減が求められることになる。
ただ、日本ではこれまで大企業を中心に環境問題に積極的に取り組んでおり、大幅な排出量削減は難しいという見方もある。排出量取引が始まれば、日本企業は排出権購入などのコスト負担増になる恐れがある。
こうした中、注目を集めている指標がROC(炭素利益率:Return On Carbon)だ。この指標は、事業活動で得た利益を、実際に排出した温室効果ガスで除して算出する。数字が大きいほど、少ない温室効果ガスの排出でより多くの利益を上げられることを意味し、排出量取引制度が導入されても、コスト負担への抵抗力が高いと判断できる。
東洋経済で行っている「CSR企業調査」では温室効果ガス排出量も調査している。今回は、このデータを使い、排出量10万トン(二酸化炭素換算)以上の企業を対象に営業利益(単独ベース)でROCランキングを作成した。計算式は、営業利益(100万円単位)を温室効果ガス排出量の二酸化炭素換算量(1000トン単位)で除している。
本格的な温室効果ガス削減時代を迎えても高い競争力を維持できる企業はどこなのか。ランキングを見てみよう。
トップは1157.2でアステラス製薬だった。同社は、社長を委員長とするCSR委員会を設置。委員長のトップコミットメントのもと、温室効果ガス削減を経営の最優先課題と位置づけている。すでに、1996年度比で24.9%削減するなど着実に成果を上げている。